2ペンスの希望

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10+ 映画のことばかり考えない

映画に関する本の出版は多い。
訊けば、思ったほど売れてるわけではないようだが、それでも映画本は毎年かなりの点数にのぼる。そこそこには売れるのだろうし、映画というものが何か言ってみようという気にさせやすいのかもしれない。
最近読んだ本の冒頭に「インディペンデント映画でサバイブしていくための10ケ条」が掲げられている。筆者は、1977年東京生まれのドキュメンタリー映像作家である。なかなか実践的で、自分の身の丈から良く考えられた10ケ条が並んでいるが、「10+ 映画のことばかり考えない」とあった。「人生で感じるあれこれの方がいつかの「あ、映画にしたいな」というヒントになる。そうすれば映画にも人生にも飽きることがない、と但し書きがしてある。
(嫌いない言い回しなのであまり使わないのだが)「たかが映画」と書きながら逆に「されど映画」と考えている〈確信犯的決意性〉が伺われて頼もしい。別の項には、こうあった。「期待に応えない」予想される「期待通り」では「期待」に応えたことになっていない。むしろ裏切るくらいでちょうどいい、と。閉じないで、見る人・応援してくれる人を意識して、最大限の誠意で応えようとしていることがほのかながら伝わってくる。残念ながら、彼の映画を見ていないので、映画についての評価は控えるが、イマドキの映画人の柔らかな戦略性を感じた。(ちょっと言い過ぎかな)あとは、ウデか。
ついでにもうひとつ。
大阪南部で以前見かけた古本屋さんのキャッチコピーにこんなのがあった。
本より散歩 本より昼めし 本より恋愛 本より映画
映画関連本のコレクションが売り物の本屋さんなのだが、映画好きな気分が伝わってくる‥いい文句だなぁと感心した。見かけた場所が、大阪市阿倍野区の「文の里」というオチまでついて今でも忘れられない。
ん?今日は何が言いたいの‥という皆様に 蛇足。

数日前に「入魂の一球をこそ」と書いたが、
青筋立てて、肩に力を込めて必死の形相で投げこむ汗臭さだけが「入魂」ではないよ、もっと肩の力を抜いたのもありだと気づいて欲しい、ということ。へなちょこナックルがなかなか打てないことだってある。
見る人たちには、水辺を優雅に泳ぐ白鳥が水面下では必死に水かきを動かしていることを知って欲しい、ということ。