2ペンスの希望

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『MAX mon amour』

1986年欧州に招かれてO島監督が作った映画『MAX mon amour』(マックス,モン・アムール)公開は1987年。

最近見直した。フツーに良く出来たフランス映画だったと改めて感心した。脚本はJean-Claude Carrière(ジャン=クロード・カリエール)撮影はRaoul Coutard(ラウール・クタール) 長部さんの本にはこうあった。(しつこいが懲りずに引用する。)
大島渚監督がフランスで作った『マックス・モン・アムール』を、ぼくはべつに難解であるとはおもわなかった。
これから二十一世紀にかけて、国際的に共通する最大の問題は、異性、異人、異国、異文化、異説、異端‥‥つまり自分とは違った世界に属して、なかなか理解できないものと、どうつき合っていくかだ。
この映画に出てくるチンパンジーは、そうした理解を絶する「異類」の象徴で、大島監督は、異類を理解し愛することのできる可能性を、女性的な感受性と抱容力のなかに見ているのだとおもう。作者の生真面目さと、人間に普遍する問題を追求する哲学志向が、鮮明に出た映画だ
」【紙ヒコーキ通信1987年6月「真剣に悩む人間は美しい」より】