2ペンスの希望

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筑前おしぼり人形

テレビ番組「探偵!ナイトスクープ」(制作ABC)のファンだ。
東京で単身赴任生活をしていた頃からだからかれこれ25年になる。(今はどうだか知らないが当時は首都圏では金曜の深夜枠ではなく日曜昼の放送。業界用語でいう所のいわゆるアパッチ=曜日・放送枠を変えてのOAだった)
 何故ファンなのだろうと考えてみた。そして思い至った。画面に登場する人物(とりわけ依頼者)の顔がイイのだ。TVに出てくる人は、駆け出しの芸人も売り出しの学者・文化人もなべて「もの欲しそう」な顔をしている。99%そうだ、これは断言できる。「さもしい」。探偵!ナイトスクープにはそれがないのが気持ちイイ。テレビに出ることを特別視していない。少なくとも拙にはそう見える。ご当人たちがどう思っているのかは知らない。ただ、構成や演出や編集によってもの欲しそうに見させない工夫が隅々まで行き届いているのを強く感じる。ファンたるゆえんはこれだった。
2013年9月6日夜放送分3『おしぼり人形の師匠に弟子入りしたい』桂小枝探偵篇。
宮城県仙台市の女子小学生(10歳)が、北九州市に住む「筑前おしぼり人形」の「師匠」への弟子入りを果たし、師弟共演が叶うという内容だった。どこにでもあるおしぼりと輪ゴムと割り箸で即席に作ったおしぼり人形を自在に操り、当て振りで踊らせるお座敷芸だ。(ネットで「おしぼり人形動画」と検索するとYuoTubeでも見られる)。
昔からあったかものかどうかは知らないが、何のことはない即興の余興である。
けど、心底魅せられたのであろう女子小学生の一途な心根が番組の端々から伝わってくる。師匠の飄逸も素敵。人形に命が吹き込まれていくさまは人形浄瑠璃太夫にも引けを取らない素晴らしさだった、といえば言いすぎか。
いやいや、国宝級の「人形浄瑠璃」も「筑前おしぼり人形」(越前竹人形のもじりかな)も、それに魅せられ精進しようとする人間の心性に高低はないのだ。
これ保証できる。