2ペンスの希望

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スカブラ

初めて知ったときからずっと気にかかっている人物、誰にもそんな人物が居る。
拙の場合は、「スカブラ」。
若い頃上野英信さんの本で知った。【岩波新書『地の底の笑い話』1967年】
スカブラとは、筑豊の炭鉱で、仕事が好かないでサボってばかりいる怠け者のことだ。採炭工の間で、親愛を込めてそう呼ばれた。由来は「仕事がスカんで、いつもブラブラしちょるけんたい」とも、「スカッとしてブラブラしちょるところからきた」とも言われる。
読み返してみたいと書棚を探し回ったが埋もれて見当たらない。残念。
と思っていたら、ネットでおあつらえ向きの頁を見つけた。http://www2t.biglobe.ne.jp/~cjfc/hanasi.htm
長いけれど、面白いこと請合い、折り紙付。騙されたと思って時間のあるときにでも読まれることをお薦めする。(便利な時代になったもんだネ、とネットを重宝し感心するのはこんなとき‥‥っと、これは横道脱線)
要するに、スカブラとは、全国各地に居た愛すべき「(三年)寝太郎」の一人である。
本の中で、上野は書いている。「寝太郎がたくさん生まれる時代は、けっして人間が幸せに生きている時ではない」と。しかし、半世紀を経た今思う。寝太郎の存在を許さない時代は、もっと不幸でギスギス痩せ細った時代なのではないか。
数年前に作った映画のことを思い出す。社会的起業を進める人物がこう語っている。「ホームレスのいない社会を目指すんじゃない。それではホームレスになれないし、ますます居づらくなるばかり。そうじゃなくって、ホームレスの存在を認め受け入れる社会・ホームレスに優しい社会を目指す方がいい」 と。 激しく同感。