2ペンスの希望

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試行覚悟

コストと機材面だけで言うなら、昔に比べて映画は格段に作り易くなった。
仕事を始めた40年前に比べれば、桁は二つほど落ちている。
しかし、その分作り難くもなっている。そういう思いが強い。
先行する厖大な映画群を前に、見れば見るほど果てしなき既視感に襲われる。何処かで見たことがあるぞ、誰かがやっっているんじゃないか、もはや更地なんて残ってないんじゃないか。そう思ってしまう人も多いのではないか。もちろん、そんなことは知ったこっちゃない、恥も外聞も無き他所様アイディアのいただき、コピペの横行も跡を絶たない。
ま、それもまた 世の常か。  もうひとつ、
昨今みんな、お行儀が良い・良すぎる、とも感じる。
規範意識が強く、こうあらねば、こうあるべきだという教条主義も根深い。(何十年も前に生まれた教義への帰依・信仰心や、無責任な愉快犯への偏愛も目立つ‥おっと、これは言葉が過ぎた。オーバーラン失敬。)
作り手たちだけじゃない。観る方も結構窮屈みたいだ。狭窄衣でも着てるんじゃないか。
作り方も見られ方も、もっと野放図に、のびのびと呼吸するように、自由自在であっていいんじゃないか。文法や教義・経典に囚われることなんて要らない。スタイルもスピリッツも何でもありでいいじゃないか。試行覚悟。屈託と屈託無さの両方を感受しながら、そこに底知れぬ映画の豊かな可能性を発見してみたい、いきたい。