少し前に、1972年生の森宗厚子さんと1977年生の寺岡裕治さんがまとめた本
『映画はどこにある インディペンデント映画の新しい波』を読んだ。
【フィルムアート社2014年2月1日 刊】
1972年生の富田克也さんから1989年生の山戸結希さんまで12人の若い監督たちへのインタビューを中心に、スタッフやプロデューサー、配給・宣伝、上映、Web配信などを手掛ける人たちにも取材した448頁、分厚い本だ。
インディペンデント映画といえば何やらカッコいい響きもあるが、いやなに「誰に頼まれたわけでもなく、勝手に自前・自弁で作った映画」のことだろう。「新しい波」と言ったって、小さなコップの中のさざ波程度かもしれない。世の中の殆どの人は知らないことだ。
そんなロートルの嫌味・嫌ごとはさておき、も少しポジティブに彼らの思いや主張に耳を傾けてみる。ちなみに、この本に登場する監督・執筆者たちは以下のとおり。
富田克也/相澤虎之助/深田晃司/山崎樹一郎/真利子哲也/濱口竜介/三宅唱/山戸結希/松林要樹/木村文洋/リム・カーワイ/柴田剛/桑原広考/大澤一生/高木風太/岩永洋/黄永昌/島津未来介/根本飛鳥/今村左悶/直井卓俊/加瀬修一/岩井秀世/高野貴子/北條誠人/吉川正文/千浦僚/岡本英之/橋本侑生/塩田時敏/菅原睦子/鈴木並木/平野鈴/野本幸孝/岩崎孝正/オーディトリウム渋谷/ユーロスペース[渋谷]/ポレポレ東中野/K's cinema[新宿]/名古屋シネマテーク/シネマスコーレ[名古屋]/第七藝術劇場[大阪] /シネ・ヌーヴォ[大阪]/横川シネマ[広島]/シネマルナティック[松山]
(これまでに何本も見た監督さんもいれば、未見の人もある。良く足を運ぶ映画館もあれば、行ったことが無いところも混じる。ただし、個々の評価はココでは控える。それより)
幾つか、印象に残ったコメント・フレーズをランダムに挙げてみる。
「日本で作られる映画って、遊園地やテーマパークぐらいは連れてってくれるけど、旅に連れだしてくれるような映画はなかなかない。」(富田克也)
「ノーギャラを美談や搾取の方便にしてはならない。インディペンデント=低予算でも作る人たち ではダメ。」(〃)
「カントクになりたかったのでもギョーカイに入りたいのでもなかった。撮りたいものがあった。」(相澤虎之助)
「映画を行商する」「実際に一揆をおこすかのように作れればいいな」(山崎樹一郎)
「「今生きている」という重力からは絶対に逃げられない。だからこそ重力に満ちた光景を積極的に撮るんだ。」(濱口竜介)
「映画は、この現実世界の空気感に敗けてほしくないので、スクリーンにしか流れない時間にドキドキしたい。」(山戸結希)
他にもあるが、今日はここまで。