2ペンスの希望

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『まんが学特講』らしさとリアル

『まんが学特講 目からウロコの戦後まんが史』つづき。
「目からウロコ」は言い過ぎだが、刺激的な発言の幾つかは面白く読んだ。
(お=大塚英志)「トキワ荘グループの人たちが盛んに 「まんがとはこうだ」 「まんがの歴史はこうだ」っていろいろと書いたものをぼくはたっぷり啓蒙されて育った。まんがは『新寳島』で始まってトキワ荘で発見した、みたいな。
(み=みなもと太郎)「全然違う。全部ぶち壊す。ギャグまんがは壊すもの。壊さなければギャグなんてものはないわけだからね。まんがも何でも描けるというのが大切なんだよ。描き分けるのも必要だろう。でも、元々何をやっても良いんだ、ということを知っといてもらわんといかん。」「つねにカオスじゃないとダメなんですよ。狂言と能になってしまって、猿楽がなくなって滅びてしまえば、両方とも博物館行きになってしまうんです。原点である猿楽を滅ぼしてはいけない。
本来間尺で測れるものではないものまで、間尺をあてがおうと変な教育をするから、 そういうことになっていくんでしょう。
(お)「まんがなんて正しいと間違いのグレーゾーンというか、何でもありの領域があって、そこに出て来た表現ですからね。
(み)「虚構の世界の中のリアリティが変わった。」「俺らのまんがの中では、「はい、お金」と出すと、そこに「1000」と書いてあればいいくらいで、リアルに描くまんがなんてなかったわけですよ。
(お)「まんがの中だけに成立する「リアル」 って何なのか、きちんと考え直す時期
なのかもしれませんね。 「らしさ」と「リアル」の違いっていうか。