2ペンスの希望

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ネオン・ジャーナリズム

本橋信宏さんの本を何冊か読んだ。
鶯谷 東京最後の異界』『渋谷円山町 迷宮の花街』【ともに宝島社 鶯谷は2013年12月 円山町は2015年2月 刊】 いずれも色街とか風俗、歓楽街といわれる土地に
まつわるルポルタージュ本だ。中にこんな一節がある。(152〜156頁)
本橋さんがお世話になった先輩ライターの一人伊藤裕作さんの話。その昔、沢木耕太郎らのニュー・ジャーナリズム、ネオ・ジャーナリズムが登場した頃、伊藤さんは。自らの文筆をネオ・ジャーナリズムならぬネオン・ジャーナリズムと称したそうだ。一字違いで大違い。一見すればそのようだが、実はペンを持って人間の真実に迫るということからすれば、そんなに違わないように管理人は思う。なのに、片や大通りを闊歩し、一方は相変わらず路地裏をこそこそ歩きまわる、そんなイメージがつきまとう。
宮武骸骨は死して後も称賛され続けるのに、酒井潔の名は日日に疎くなるばかりだ。職業に貴賤なし、と云いながら、同じジャーナリズムでもピンクやイエローやブラックが過剰に貶められる現状は肯じえない。
ジャンルで優劣・高低をつけるのは、いい加減止めにしたほうがよかろう。
この本橋本『鶯谷』には、塩見孝也と荒 岱介のエピソードも出て来てこちらも興味深いのだが、今日は書かない。関心の向きは、近くの図書館ででも借りて読んでみてくれ。