2ペンスの希望

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瀬戸際 袋小路 道楽的

円山町つながりというわけではないのだが、数日前から内藤篤さんの『円山町瀬戸際日誌』を読んでいる。【羽鳥書店2015年12月 刊】内藤さんは1958年生まれ、弁護士であり、同時に、名画座シネマヴェーラ渋谷の館主でもある「映画好き」。専門はエンターテイメント系・メディア/コミュニケーション系の法実務。というより、そもそも「映画や音楽が好きだから、それと近いところで弁護士をやりたいという、ただそれだけのこと」と書いている。シネマヴェーラ渋谷は、2006年1月渋谷のラブホテル街円山町の一角にオープンした旧作専門の映画館。拙管理人はその頃には東京を離れていたので、残念ながら行ったことはない。
映画館のウエブサイトを覗いてみた。「劇場案内」⇒「立ち上げ口上」のページに、「基本2本立て。料金の目玉は若年層です。中学生以下は500円、高校生・大学生は800円」とあった。本にはこう書いている。「「典型的な名画座のお客さん」だけを相手に映画館をやっていきたくないのだ。それでは袋小路だと思うから。未来がないと思うから。青臭いかもしれないが、少しずつでも、「典型的な名画座のお客さん」の外にいるお客さんを名画座に取り込まなければ、名画座に未来はないし、それは長い目で見れば映画館に未来がないのではないのか、と思っているわけだ。」云いたいことは痛い程分かる。正論でもあろう。けど、暗い部屋で、見知らぬ人と一緒に受け身で映画を見る経験を幼いころから持たないできた若年層を映画館に引きずり込むのは、結構ハードでヘビー、ハードルはメッチャ高い。そんなことは内藤さんは百も承知だ。別の個所では、「コアな名画座(いわゆる昔の映画を主体に上映している映画館)はどこでも、誤解をおそれずに言えば、多かれ少なかれ「道楽的」な運営がなされているように思える。」と記す。
「キチンと見せる」「ちゃんと伝える」を旗印に掲げる当ブログとしては応援したいところ。それにしても、瀬戸際‥袋小路‥道楽的‥‥身につまされ過ぎて、泣くに泣けない。笑うに笑えない。
トンネルを抜けて日が射す路は何処にあるのだろう。無いとは言わせない、断じて!
そうですよね、内藤さん。