2ペンスの希望

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ビミョー

内藤篤さんの『円山町瀬戸際日誌 名画座シネマヴェーラ渋谷の10年』を読み終えた。ゆっくり読んだのは、かならずしも感心したからではない。後半は明らかに失速気味、
テンションも落ちている。それでも、普段よくお世話になっている名画座運営の舞台裏・台所事情が垣間見えてきて、それなりに興味深く読んだ。
「ちょっと残念なお客」や「とても迷惑なお客」の話、映写機・ハード機器の話題もある。アメリカで買い漁ったVHSコレクション500本の無料放出エピソードなんて小ネタも。
ただ、読後感は“ビミョー”の一言。
142席という大きさも。弁護士と名画座館主、加えて、大学でエンタメ系の法務を講ずる大学のセンセ仕事、二足の草鞋ならぬマルチプルプレーヤーでもある。どっちつかずの器用貧乏にも見えてくる。
以下、全くのあてずっぽうで書くのだが、
多分家賃は格安(或いはゼロ?)、水光熱費と人件費、リース事務費といった固定費部分と、フィルム調達費やPA費(チラシ、トークゲスト、パブ展開)などの変動費を低く抑えながらバランスをとる経営方針もビミョー、若い人を開拓するという姿勢とまずは自分が楽しみたいという姿勢の優先順位もビミョー、プログラミングも集客も、運営スタイルも、生業と道楽の兼ね合いも、時間の割き具合も、自慢話とトホホ話も‥‥全てがビミョー。
悪いと言うんじゃない。その場しのぎ その日暮らしは、似たり寄ったり。むしろ支持。
内藤さんの心底・根っからの映画好きは端々隅々から十二分に伝わってくる。
趣味も知識も半端ないことも認める。脱帽だ。けど、どこかで功罪半ば、ビミョーな印象がぬぐえないのだ。
繰り返すが、他人事ではない。(とはいえ内藤さんと拙管理人では、月とスッポン、雲泥の差なのは歴然!) それにしても‥‥‥何処まで続く泥濘(ぬかるみ)ぞ、だ。