2ペンスの希望

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面白いのに面白くない

選球眼を利かせたつもりで、ここしばらく「新しい日本映画」を何本か観てきた。

いずれも力作揃い、面白く見た。けど、面白いのに面白くない、そんな気分に陥った。
映画は作り易くなった分、作り難くなった。そう思っている。
原因は色々あって輻輳している。ただその一つに、あらゆる映画が既に作られてしまった徒労感、「更地無し」感がある。そう考えている。
先達の達成が山ほど並び、その気になれば手に取ることができる時代だ。
挑戦はやりつくされ、新しい峰への登頂は困難を極める。揚げ句「新天地」を求める。「被災地」や「アジア」や「寄せ場」に身を寄せる。それ自体悪いことではない。それぞれに誠実で切実な狙い・意図・計算があることは承知する。ただ、どこかで屈折し、内向せざるをえない「キツさ」を抱えながら前に進む様子が、切ない。

どの映画も心地よい。それぞれに思いの爆弾が込められているからだろう。 しかし、
快はあっても、痛快はない。不発弾とまでは言わないが、爆弾炸裂には至らない。
練り込み・突き詰め方の不備・不徹底が目につく。
理由は分からない。事情も知らない。お金なのか、才能なのか、努力・精進なのか‥。
ただ、映画と格闘する彼らの逞しさは頼もしい
彼らの中から、周回遅れのトップランナーが生まれることを切に願う。
(不徹底は致し方ないとしても、不備の繕いはもっともっと可能な筈だ)
ロートルも精進したい。