2ペンスの希望

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「背のびして‥

川島雄三の本は、若い頃から何冊も読んできた。
今村昌平が纏めた『サヨナラだけが人生だ 映画監督川島雄三の生涯』はじめ、磯田勉+カワシマクラブ編『川島雄三乱調の美学』、「ユリイカ臨時増刊 監督川島雄三」、藤本義一川島雄三、サヨナラだけが人生だ』モデル小説『生きいそぎの記』などなど。どこか情動を刺激するところがあるのだろう。小津、黒澤に次いで沢山の本が出ている映画監督だと思われる。ちょっと前にも、松竹時代にスポットを当てたカワシマクラブ編『監督川島雄三 松竹時代』が出た。これも読んだ。そしてつい先日石渡均さんという岡崎宏三さんに師事したキャメラマンが書いた『映画監督のペルソナ 川島雄三論』【愛育出版 2016年10月 刊】を読み終えた。これには岡崎キャメラマン8ミリフィルムで撮った「特別愛蔵版・川島雄三メイキングDVD」(40分24秒)が付録についていた。
「背伸びしてミューズの蹠(あし)をくすぐらむ」は、川島雄三の作った俳句にちなむネーミングらしい。 (俳句もタイトルも、映画に較べれば上手いとは言いがたいが、DVDはめっけものだった。)
ふるさと青森県むつ市図書館には川島雄三記念室があり、入口正面には、右の写真が架かっているそうだ。
石渡本には、川島組のスタッフへの珍しいインタビューも載っていた。
黒澤組と川島組両方に付いたことのある撮影助手のコメント。
ご両人の「演出態度(スタイル)」の違いを、
「映画は、こうやるもんだ」という硬質スタイルではなく、「映画はこうやってもできるんだ」という軟質スタイルが川島流 そう語っているのが面白かった。