2ペンスの希望

映画言論活動中です

『ハッピーアワー』論

濱口竜介さんの映画については何度か書いてきた。菊地成孔さんの評論「シネフィルである事がまたOKになりつつある」なども読んできた。(ご興味の向きは ⇒ https://realsound.jp/movie/2016/01/post-711.html)
この夏、2015年劇場公開映画『ハッピーアワー』について、論じた一冊の本を読んだ。三浦哲哉さんが、5時間17分の長さに向き合った一冊。仔細は現物にあたって貰うしかないが刺激的だった。さわりを少々。
世界をまあたらしく見る、ということと、足元が揺らぐということはおそらく 表裏一体であるだろう。
「手に負えないもの」「想像を超えるもの」「どうしようもないもの」を尊重 し、それらと丹念に交渉しつつ、その交渉プロセス自体を(映画に)織り込む ことによって構成されることが目指された‥‥‥

ポスト・ハスミン、映画と評論の今日的地平が開かれている予感。褒め過ぎ?
それにしても、今日的な映画は、一度見て終わりじゃなくて、何度も賞玩・吟味するものになったようだ。喜ぶべきか、悲しむべきか。
評論の困難はここいらあたりにもありそう。