2ペンスの希望

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いいぞ 明香

『女優芹明香伝説』【ワイズ出版2018年5月 刊】を読んだ。

中でご自身も書いているように芝居は下手だ。正直 演技は拙い。
けど、忘られず得難い「映画女優」のひとりである。(舞台では、芝居や演技ができない役者は役立たずだが、映画では、存在感だけで、棒立ち・棒読みセリフでも異様な光芒・精彩を放つことがある。映画の「役者」とはそういうもの)
面白かった箇所をひとつだけ。
⇓⇓この本の編者で、芹明香の大ファン:鈴村たけしさんのロングインタビュー。 代表作『㊙色情めす市場』についてのやりとり。
(鈴村)――これ最初に芹明香が主演すると聞いたときに、タイトルは「受胎告   知」だと。すごい題だと思っていたら、公開時には『㊙色情めす市場』に   変更。なんじゃこりゃと思った(笑)。
(芹)でも私ね、なんか『めす市場』ってタイトルのほうが好き。「受胎告知」   より合っている気がする、あの映画に。現実的でしょ。「受胎告知」っ    て、そんなきれいなもんじゃないだろうって‥‥。うん、何かもっと現実的   で生臭くなければ、ってね。(中略)例えば母親も娼婦ということひとつ
   とってみてもナマ臭いものじゃないですか、人間のセックスとかいうもの   も含めて。それを『めす市場』というタイトルがうまく表わしている気が   する。〝市場〟ってそうじゃないですか。生活に密着していて、ナマっぽ   い所じゃないですか。だから私はこっちの題の方が好き。「受胎告知」な   んてね。神代さんだったら、「そんなもんじゃないだろう」って言うわ    よ。そんな感覚よ。そういう意味で田中登さんは「受胎告知」派なのよ。   田中さんはそうなのよ。私は『めす市場』派なのよ。

いいぞ 明香。