2ペンスの希望

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村人拒否の「副部長体質 短距離向」

佐々木史朗さんの本『時の過ぎゆくままに』【2018年11月 ワイズ出版】を読んだ。

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インタビューにこたえた語り下ろし自叙伝。撮影所育ちでないプロデューサー第一世代、ずっと映画界どっぷりの人かと思っていたが、実はそうではなかった。「いわゆる映画っていう業界があって、それは観客も批評も含めてね、そういう中にいる人たちとちょっと違うスタンスで自分はいたいっていう風には思うね。違うところでちゃんと、なんだろう、大きく言えば現実を感じていたいと。」(150頁)映画村の村人・田舎者にはなりたくない、閉じないで世界の風のなかで生きたいという思いは健康的だ。「副部長体質 短距離向」との自己分析も明快だった。

今でも「映画っていうものはな」っていう言い方が一番嫌い。」「こいつ、他人に見せようというものが撮れるよねっていう、そういう人間を作っていく。

ー昔から自主映画出身では、観念指向型とメジャー指向型がありますよねという問いにこたえて「これは体質みたいなもので、意図的にそうなろうとして出来るもんじゃないんですね。どこかでお客さんに楽しんで欲しいというような気持が抑えきれない人間と俺の表現だっていう風にする人間とがありますからね。まぁ両方あればいい、あったほうがいいですね。こういうのが本当の映画ですっていうのは、ないだろうと。両方とも映画なんだよね。」胃袋の大きな人なんだろうな、きっと。そう思った。

4、5年前に書いたブログのことも想い出した。

kobe-yama.hatenablog.com