2ペンスの希望

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広報映画『大阪の中の大阪』

五月晴れだが、今日は湿度100%ズブズブの昔話ひとつ。

下水道映画の本を読んでいて、大昔作った大阪市の広報映画のことを想い出した。企画コンペで日本映画新社が受託、その企画構成・演出を担当した。タイトルは『大阪の中の大阪』。(ためしにググってみたが、何も出てこなかった)普段目にすることの少ない都市インフラの集積を描いた30分の記録映画。制作したのは1981~82年だったろうか。

秀吉が作った「太閤下水」や内水対策で当時建設中だった寝屋川の巨大 地下河川(直径9.5m?)などを撮った。小学校の授業で、子供たちに校区のマンホールの種類と数を調べる授業も仕込んで撮った。(ヤラセ!今なら槍玉か?)

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太閤下水

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地下水路

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地下河川(雨水トンネル)

企画にはネタ本があった。デビッド・マコーレイの『アンダーグラウンド』好んで読んでいた本だ。


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出始めだったCG(三次元・ワイヤーフレーム)を作って駒撮りした。地下鉄御堂筋線淀屋橋駅から梅田駅までを地下鉄目線で走り、梅田に届く頃、キャメラは地下から地上に昇り、CGがゆっくりと実写のヘリ映像にオーバーラップしてエンディングになるという趣向。

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 CGを作ってくれたのは、大阪大学工学部笹田剛史研究室の大学院生たちだった。リーダーの澤井健さんは、のちにプラス・ワンという会社を作って建築シミュレーション3DCGのトップランナーとして活動されたが若くして亡くなった。合掌。阪大キャンパスに三日三晩泊まり込んで35mmNCミッチェルで駒撮りした高比良昇キャメラマンもとうの昔に逝った。合掌。映画用に音楽も作曲した。お金が潤沢だったのだ。作曲は宇田川妙さん。(ピアノを弾き作曲も達者な音楽家。小柄だがパワフルなボーカリストでもあった。宇田川の宇+名前の妙=宇妙(うたえ):生来のシンガー。四十年以上会っていないが、ネット情報によると郷里の島根県安来に戻り、今も健在の様子)

いやはやなんとも(家早南友:永井豪だよ。)隔世の感しきり。有為転変。だが、まだまだ。いや、まだまだ。しぶとくいくだけ。じたばたあがくつもり。善人は早死にし、憎まれっ子余に憚る。棄子(すてご)は世に出る、なんてのもあることだし。