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世代交代 必至

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映画にまつわる本はごまんとある。若い頃からたくさん読んできた。最近の一冊。『そして映画館はつづく あの劇場で見た映画はなぜ忘れられないのだろう 』【2020年11月 フィルムアート社刊】新型コロナウイルスの混乱を機に出た緊急出版、時流便乗のキワモノ、急場拵えのやっつけ仕事かも と敬遠してきたが、巻頭にこうあった。「必要だと思われたのは、コロナ以前・以後という問題設定ではなく、なぜそもそも「映画館で映画を見る」ことが必要なのかという原理的な問いについて考えることでした。歴史を遡ればテレビの普及やビデオパッケージの流通、あるいは今日の様々な映像配信に至るまで、映像インフラにおける技術的変容の中で、その意義をつねに問われ続けてきました。新しい技術が私たちにもたらしてくれた恩恵は計り知れません。一方で「上映」という営為の意義がそれらにすべて置換可能であるはずがありません。二〇二〇年一一月 フィルムアート編集部 」勝手な想像だが、恐らく30~40代の編集部員諸氏が、それなりに真摯・誠実に危機感に駆られ取り組んだ時事企画本。中身は当然ながら玉石混交の雑居状態だった。それでも幾つか刺激を受けたことがある。忘れぬうちにメモする。(先に書いた黒沢清の映画館論、田井さんの映画館論に加えて)

 

メモその一。「世代交代 必至

本には26人の「映画人」が登場する。1950年代60年代生まれに混じって、やっと1970年代~80年代生まれの世代の声がちょっぴりだが聞こえてきた。二代目映画館主、新進配給会社、映像キュレーター、コミュニティシネマ、‥‥。御多分に漏れず、映画の世界も高齢化が進んでいる。作る人・送る人・見る人‥どこでも、ロートルが幅を利かせ、大きな顔をして席を譲らない。若い人の邪魔をしてる。そういう当ブログ管理人だってそんな一人・根性曲がりの意地悪爺さんだ。(ただ、昔は良かった、俺たちの頃は‥なんて繰り言は言いたくない、それだけは自覚している‥つもり)これからの十年二十年、日本の映画の世界を支え作っていくのは、「年寄」ポンコツじゃない。彼ら「若い」世代だ。(とはいっても30代40代だからさほど若いとはいえないけれど‥)老害を突破して新しい地平を築いて欲しい。恐らく、混乱のぬかるみ状態は当分続くだろう。ただ映画百十年の歴史はいつだってそうだった。平和で安泰な時代なんて無かったのだから。