2ペンスの希望

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相手の靴を‥

「ボールを落とすな」というより、「ボールから目を離すな」と指示するコーチの方がずっと優秀なことは誰にでもわかる。

「相手の立場になって考えろ」と諭されるより「(一度)相手の靴を履いてみたら」と云われたほうがよくわかる。具体的、実践的、生々しくイメージが浮かぶ。分かり易くて、深い。

この言葉、数年前にブレイディみかこさんの本『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』で読んだ。英国の底辺中学校に通う息子さんの言葉だ。

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海外子育て本として結構売れた本のようだが、どうしてどうしてそれだけじゃない、今欧州がどうなっているのか、十代の若者たちがどんな風に感じ生きているのかが垣間見えてきて面白い。版元の新潮社がネットで一部無料公開しているので、未読でご興味の向きはどうぞ ⇒

『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』ブレイディみかこ 特設サイト | 新潮社

ということで、今日は、柄にもなく新潮社のPR 図らずも幇間の 巻。

(この本では、もうひとつ、「エンパシー:empathy」という言葉を知った。「シンパシー:sympathy」は日本語になっているが、恥ずかしながら「エンパシー:empathy」は初めて知った。シンパシーは同情や共感の「感情・理解」に留まるが、エンパシーは、「自分で誰かの靴を履いてみること」つまり「能動的能力」のことだそうだ。ブレイディみかこさんはもう一歩深めて「自分と違う理念や信念を持つ人や、別にかわいそうだとは思えない立場の人々が何を考えているのだろうと想像する力」だ、と書いている。納得。)