中山信一郎(1936~2018年)『 泣き笑い 映画とジャズの極道日記』【2020年4月 ワイズ出版 刊】
冒頭に山田宏一(1938年 生)との対談「映画的記憶・ジャズ的記憶」【1983年1月】が再録されている。
成瀬巳喜男を巡って、
中山「高校一年の時だと思いますが『おかあさん』を見たんですよ。『おかあさん』なんてタイトルほんとうは見たくないんだな(笑)この作品がいいんですよ。日本映画独自の面白さを発見したのがこれ。」
山田「戦前の『鶴八鶴次郎』などは涙なくして見られない。」
中山「戦後も『流れる』とか後年の『鰯雲』なんてよかったですよ。」
山田「ただ名作呼ばわりされるけど『浮雲』だけは好きになれないんですよ。」
中山「僕もそうです。何でこんな暗い映画がベスト・テンの一位になるのかって」
と無防備に好き放題語りあう。映画ファン気質 全開。
山田「映画もジャズも、ジャムセッションが命。そして、音色。テーマがどうあれ、スタイルがどうあれ、音色ですね、本当に心に響くのは!」ウキウキ ワクワク 弾む会話が伝わってきて微笑ましい。
対談本三冊目は、沢木耕太郎(1947年 生)『沢木耕太郎セッションズ〈訊いて, 聴く〉1 達人、かく語りき』【2020年3月 岩波書店 刊】
淀川長治(1909~1998年)との「私の・愛した・映画」(つづく)