2ペンスの希望

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屯・塒・座

何と読むか ご存知だろうか。

屯=たむろ、=とぐろ、座はご承知の通り=ざ。

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=たむろ」は、「仲間や同じ職業の人々などが寄り集まっていること」という意味の言葉だ。新撰組の壬生屯所、屯田兵、駐屯地・駐屯所など、いずれも兵士達が日頃集って「たむろする」場所・集会所だ。1カ月ほど前に「溜まり場」のことを書いた。(才能の溜まり場 社交の浮上を - 2ペンスの希望) 今回もまあ似たようなものだ。つまりは 二番煎じ、同工異曲。そのつもりで気楽にお付き合い願う。

溜まり場も「たむろする」も、どこかしら胡散臭く、不穏で良からぬニュアンス無きにしも非ずだ。けど「小人閒居(間居 閑居) して不善を為す」より「有象無象」が集まってワイワイガヤガヤやる方がずっとまし、断然いい。

=とぐろ」は、「たむろ」よりもっとイメージがよろしくないようだ。語義をググると、「1 蛇などがからだを渦巻き状に巻く。2 何人かが特に何をするでもなく、ある場所に集まっている。「若者たちが道の端で―・いている」3 ある場所に腰をすえて、動かないでいる。」などと出てくる。「用もないのに長時間ごろごろ居座っている」印象で芳しくはない。けどある場所に腰を落ち着けてじっと動かない」のはそれほど悪いことじゃない。思い付きに浮足立ってすぐに飛びついてフラフラするより、肩の力を抜いて深呼吸し、腰を据えて取り組む姿勢はそう捨てたもんじゃない。(スピード効率 最優先のイマドキには流行らないかもしれないが‥)とぐろの語源についてはいろいろあるようだが、なかに「[ト(所)+グラ(座)]からの転訛」という説が面白い。グラ(座)は、クラ(鞍)と同じで「人や物が乗る台」のことだ。

=ざ」は、「1 すわる位置。すわるための具。物を据える場所。「台座」2一つの目的で集まっている場所。集まり。つどいの席。「座談」「満座」 3中世の商工業の同業組合。 4江戸時代、貨幣などを造った公設の機関。「金」「銀座」 5能楽・歌舞伎など芸能の団体。また、舞台や劇場。「高座」 6星のやどり。「星座」  7神仏の像などを数える語。 8います。「いる」「ある」などの尊敬語」などとある。劇場や映画館の名前にも使われてきた。〇〇座。「人と人が寄り合い何事かを為す場」

昨今、一人で映画を作る映画作家・ワンマンマルチプレイヤーが増えている。徒党を組むことがめっきり減ったと聞く。集団創造は時に煩わしく非効率でもあろう。けれど、建築同様、映画はスタッフ、チームを組んで臨む団体競技、そう考える管理人としては、チームプレー、スタッフワークの充実・再興を望みたい。