2ペンスの希望

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大丈夫? 大丈夫!

撮影所の時代をいささかなりと見聞・共有してきた身としては、撮影所亡き後の映画作りの困難を思うとついつい「大丈夫?」と心配になってしまう。そんな時代になって早や半世紀が過ぎた。「基盤の液状化」「産業としての凋落」「スタッフ不在・スタッフ不用」「作り易くなって作り難くなった」‥‥浮かぶ言葉はどれも心もとないものばかりだ。

それでも、映画に出会い、映画に淫し、悪戦苦闘を承知で新しい映画を産もうとしている若い世代がほんの僅かながら居る。そんな話をしていたら、中国儒家孟子に詳しい方から「大丈夫の話」を教えて貰った。

 

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孟子性善説に立つ。人間だれしも「惻隠」「羞悪」「辞譲」「是非」という「四端(四つの端緒 きざし」の心をもっている。「惻隠」は困っている人を慈しむ心(力)「羞悪」は不正や悪を憎む心(力)「辞譲」は譲ってへりくだる心(力)「是非」は正しいことと間違っていることを判断する心(力) 

この四つを磨き育むことで養われる精神力「浩然の氣」を備え実践しようとする理想的な人間を称して、孟子は「大丈夫」と呼んだ、という話だった。なるほどな、孟子に倣いたいものだ。

時代や社会がどんなに移ろうと、環境や条件がどれほど変わろうと、映画の明日は「大丈夫!」と構えたい。たとえその明日がずーっとずーっと遠い先のことだとしても。