2ペンスの希望

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プロ論 「手ぇと頭と一緒でなければ‥」

プロフェッショナルとは何か、については何度も書いてきた。定義は様々だ。難しい。最近はこう思っている。「プロとは、自分の力量が分かっている人のこと」偶然なのか、まぐれなのか、たまたまの幸運なのか、口に出すかどうかは別にして、自分のことでも人のことでもわかってしまうものだ。怖さを知っているから、プロは得てして慎重・臆病だ。アマチュアは怖いもの知らず、ときに冒険したり暴走したりもする。それが悪いとまでは言わないが‥。

もう何十年も前に作った映画で、宮大工の西岡常一棟梁にインタビューしたことがある。その時の言葉が今も耳に残っている。

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我々というのはいわば専門家や。木を刻むという専門家や。それは日曜大工のようなちょっと器用でするというのとは違うん、職業や。そやから、自分の心のままに道具が切れねばならんし、心のままに手も動く、結局 手ぇと頭と一緒でなければほんとの職人にはならんねや」【1984 映画『大工道具~その技と心~竹中大工道具館

が一緒でなければ‥‥もっと言うなら、が良くて、てのひら・指先の感知力がどうか、微妙な感触を形にしていく力が備わっているかどうか、今一度、自らの胸に手を当てて問うてみたい。