今日も、忘備録。『マンガでわかる戦後ニッポン』【2015.7.26. 双葉社 刊】を図書館で借りて読んだ。好物がたくさん入った松花堂弁当みたいだったからだ。
編集者の選考も悪くなく美味しく頂戴した。なかでも内田樹センセの巻末解説はめっけものだった。上記の帯(腰巻?)にも少し抜粋が載ってるが、感心したのは ↓ この部分。
「映画『三丁目の夕日』を見たとき、「なにか違う」と思った人は多かっただろう。映画を撮っている人たちは誠実に時代考証していたと思うけれど、若いスタッフたちは「家や路地にたちこめていた臭気」や「地面の泥濘」を勘定に入れ忘れていた。
匂いを映像化することはむずかしい(黒澤明や小津安二郎はそれができたから「天才」と呼ばれたのである)昭和20年代の東京都内では、路地の地面は雨が降ると歩けないほどぬるぬるどろどろになり、夏の夕方は四つ辻に蚊柱が立ち、晴れた日に風が吹くと目も開けられないほどの砂埃が立った。「そういうこと」はすぐに忘れられてしまう。そして、リアルタイムでは「そういうこと」を映像資料としていま撮っておかないと、あと、数十年もそれば国民的な記憶からかき消えてしまうだろうというようなことは誰も考えない。」
首肯 同意。