民族誌映画とか映像人類学と呼ばれる映画がある。日本にも幾つかの流れがある。世界ではフランスのジャン・ルーシュが有名だ。ベン・ラッセル Ben Russell は1976年アメリカ西海岸生まれの映像作家。「言語に出来ない何か」「本質的には目に見えないもの」を求め、自らの映画を「サイケデリック・エスノグラフィー」と呼ぶ。
「Good Luck」は南東ヨーロッパセルビアの国営鉱山と南米スリナムの違法採掘集団を描いた143分の映画。
2017 Good Luck
「サイケデリック・エスノグラフィー」分かったようでわかり難い言葉だが、「麻薬的な幻覚経験の中でトランス現象に至る」というニュアンスだろうか。ベンラッセルは、インタビューの中で、カナダのマイケル・スノウMichael Snowやアメリカのマヤ・デレンMaya Derenなどに影響を受けたと述べている。
とすれば、学術研究的なお堅いイメージの「民俗誌映画」と自由奔放な「実験映画」(前衛映画・アヴァンギャルド映画・純粋映画・絶対映画‥‥)の間は意外に近いのかもしれない。
遠い映画の奇しき類縁。
ということで、懐かしの前衛実験映画をオマケ。
1943 Meshes of the Afternoon (監督 兼 主演Maya Deren)