2ペンスの希望

映画言論活動中です

⑥知らなかった

子供のころから本屋や古本屋は好きだった。書店勤務や出版関係の仕事に就いた友人知人もいる。そんな関係で多少の業界事情は理解しているつもりでいた。けど、この本『本屋と図書館の間にあるもの』で初めて知ったことも多い。

f:id:kobe-yama:20210704201016j:plain

 ■

「平台・平積み」や「面陳」「差し」は知ってたが「ショタレ:書垂れ」というのは知らなかった。返品期限を過ぎてしまい取次に返品できなくなってしまった不良在庫のことだ。 雑誌類は廃棄処分となるが、書籍は難儀なやっかいもの、売れそうにないし返すことも出来ない。

ISBNコードとPOS管理で過去のものとなりつつある「スリップ」だが、報奨金の関係もあり、今も重宝されているようだ。

f:id:kobe-yama:20210704203347p:plain

形式は様々、返品期間や買い切りによって色分けされ、出版社はスリップの色でランク付け評価・操作している。書店サイドは間違えると上記の「ショタレ」になるので、ゆめゆめ管理が怠れない要注意事項、最重要ポイントに一つになっている。

へーっと思ったり、成程そうなんだと感心したり。

書店員さんの九割近くは女性で、ほとんどがパート。最近芥川賞直木賞より注目されベストセラーの近道と話題の本屋大賞だが、実は彼女たちが好む本が選ばれやすい。という意味では偏りが否めない。とか、

最近の学生の部屋には本棚がなくなった。本は電子ブックかスマホタブレットで済まし、本棚を必要としない生活が当たり前になっている。」とか、

町の書店は売上の60%以上がコミックと雑誌。負けるのは大規模大手競合店ではなくコンビニ。週刊誌もマンガ誌・コミックも全部コンビニにもっていかれちゃた。定期購読の配達がメインだった雑誌が全滅して閉店。配達というのはばかにならない。顔を見れば来月もお願いしようかとなるし、これもついでに、とご用聞き的なところもある。コンビニはそういう人間関係を完全に遮断したところで成り立つものだから、(町の書店の)代わりにはならない。」とか、

施設の老朽化で公共図書館の建て替え・リニューアルが進む中、先進的な試みも始まっている。カフェー併設や各種イベント・販売タイアップなどは当たり前だが、駐車場の空きスペースに日替わりでキッチンカーがやってくるケースも。」とか

地方の廃校空き校舎を本の置場所に活用しようという動きも」とか

昔を振り返るのではなく、元に戻るのでもない。まったく新しい扉を開こうとする試みは、映画業界にも切望されている筈だ。