2ペンスの希望

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⑫AMAZONとの向き合い方:陥穽と拡張

パソコンやスマホの「リコメンド機能」はもはや当たり前になっている。便利だ、有り難いと活用する人もいれば、鬱陶しい、有難迷惑、止めてくれと拒む人もいる。もちろん表示を消すことも可能だが‥面倒だ。

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通信、ネットワーク技術の進化でとめどなく情報爆発が進む今、目利きビジネスは時代の趨勢、さらに拡がって行くことだろう。ただし、要注意。

ガイド、アドバイザー、ナビゲーター、案内人、お見立て役、‥‥その道の先達、達人、情報通、指南役、‥‥は昔々から居た。シェルパパイロット、コンサルタント、ポン引き、なんてのも。平成バブル以降登場したと思しきソムリエ、コンシェルジュも専門分化が進む。

ハッキリしてるのは、上から目線のお節介では嫌われるということ。知ったかぶりの押し付けでは支持されない。かといって下手に出ても見透かされる。結構厄介な商売なのだ。信頼できる「顔見知り」に薦めてもらうのが一番安全・安心だ。

以前紹介した北海道砂川市 いわた書店の「一万円選書」がヒントになる。(この選書ビジネス、今も大人気のようで何よりだ。)

目利きビジネス - 2ペンスの希望

目利きには、積み上げた経験と絶対的な眼力が必要だ。一朝一夕にはいかない。

ある専門家はいわた書店の優位性を、「〈人間にしか出来ないコミュニケーション〉と〈適度な不一致〉」と解説している。

amazonのレコメンド機能には、この二つが決定的に欠けている。信用も信頼もまだまだだ。

便利かもしれないが、冷たい。顔がない。(もっと言えば、下心ありあり、衣の下から鎧が見える。)

もう一つ。これまでの行動履歴(購入~検索~表示~など)をベースとするため、全く見向きもしなかったものには永遠に出会うことが出来ない。つまり「適度な不一致」はそもそも視界から外されている。便利ではあろうが、はなから視野狭窄に陥っている。

管理人の実感で言うのだが、SNS時代に入って「会ったこともないのに、顔が浮かぶ人」が増えた気がする。短いやり取りを重ねているだけなのに人柄が偲ばれ、深いキャッチボールが出来ている気になってくる。「顔が見える」「顔なじみ」「会わずとも 気脈を通じる」そこには新しい信頼が生まれる。

「便利の陥穽」と「便利の拡張」 も少し 考え続けてみる必要がありそう。