2ペンスの希望

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「現代」における映画 その成立条件

イイものに出会った。

濱口竜介監督の新作『ドライブ・マイ・カー』を観てきた。

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週初め 平日午後のシネコン、お客さんは結構入っていた。150席の6,7割は埋まっていただろうか。

「新しい」映画というより、「現代」において映画が成立するのは、こんな形でなのかな、と思わせる映画だった。それだけの密度と重量と張力を備えた179分の力技で堪能した。タイトルからして含意あり。車という個室・その中での人生・先行するテキスト・多言語‥‥。

「演劇」を見ているように見る「映画」だった。

生の演劇の現場ライブ性・現在進行形から、「適切な距離」を取りながら、なおかつ現場に立ち会う緊張感・生々しさと瑞々しさを失わない「映画」の在り方、その多角多面体・多重多層性の籠もった「重層・高層映画」だった。昔のアクション映画のような、行為対行為、肉体対肉体の「競い合い」=バトルではないが、言葉や声による「つばぜり合い」=アクト・アクションは確かにあった。

あざとい(ところがタマにキズの)村上原作×商業映画と自主映画を往還する(ところがカシコイ)濱口脚本監督の距離感と拮抗心がほどよく心地よい。撮影の四宮秀俊、音楽の石橋英子、主演の三浦透子イイ仕事をしている。( ←エラソーでゴメン。耄碌爺の妄言とご海容ねがう‥なんて ズルく エクスキューズ)車中カットはさておき「自動車の走る画(高速道路、トンネル、‥)」は、どれも新鮮・美しかった、そう思ってたら、映画の公式サイトに黒沢清さんが「こんな自動車映画いまだかつて見たことがない。 」と書いていた。(「映画を見る眼は確かなのに、黒沢さん作る腕はイマイチ」なんて嫌味いやごと 言ってみたくなってしまった。←かさねてゴメンナサイ。)

イイものを見せてもらった。

ということで、最後にオマケ。

(最後まで見て下さい。手掛けたのは濱口竜介さん らしい)


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