2ペンスの希望

映画言論活動中です

びっくりしたなぁ、もう

へー、知らなかった。当ブログで何度も採り上げてきた濱口竜介さんと伊藤亜紗さんは、大学で同じゼミに居た同級生だったんだ。なんだか嬉しい。ちょっぴり自慢。

東京・六本木「文喫」で開かれたトーク イベントのネット記事。

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hon-hikidashi.jp

新作映画公開に向けたキャンペーンイベントのひとつなのだろうが、めっけものだった。(それにしても、東京の片隅のイベントが居ながらに読める時代に 感心 感謝だ。)

伊藤亜紗さんは、朝日新聞でも映画評を書いている。

人間関係というより存在関係。並行関係。並んで走り、共鳴しあう関係

北村匡平さんは、「1950年映画『羅生門』でクロサワがアクタガワを越えたように、2021年ハマグチはムラカミを超えた」と手放し だ。

こたえはひとつじゃない、無数にある。

良く出来た映画は、多面体。プリズムのように分光して様々な言葉を誘発していく。

■並んで走り、共鳴し合う関係 伊藤亜紗さん(美学者)

 この映画では「並行関係」が多く描かれます。車では運転する人と乗っている人、バーでも向かい合うのではなく横に座る。家福とみさきが車の中でたばこを吸い、その手をサンルーフから出して並べるシーンは、手をつないでいるようで美しかったです。家福が妻に対して抱えている問題と、みさきが母親に対して抱えている問題、罪の意識のようなものが、全然違う話だけどシンクロし、共鳴して変化が起こっていく。

 互いに向き合う対話だと、伝達しようとしたり説得しようとしたり、相手に対して意思が働く。でも並行関係だと、良い意味でそれぞれ勝手にやっていることが、共鳴、共振し合い、お互いに影響を与え合う。

 私自身、障害がある人の身体感覚について研究するなかで、並行や横の関係が持つ積極的な価値を感じています。映画の中で車で移動する2人は、視覚障害者と伴走者がロープを介して長時間走ることで一つになって進んでいく姿に重なりました。

 変化に対応する柔軟性が求められる現代。どんどん流れていく日常で放置してしまいがちだけれど、誰しもが何らかの心の傷を抱えている。究極的には自分の心に対しても「向き合う」ことはできない。映画では自分の心に「折り合いをつける」というせりふがありましたが、そういう付き合い方が大切なのではないかと感じています。

■並んで走り、共鳴し合う関係 伊藤亜紗さん(美学者)

 この映画では「並行関係」が多く描かれます。車では運転する人と乗っている人、バーでも向かい合うのではなく横に座る。家福とみさきが車の中でたばこを吸い、その手をサンルーフから出して並べるシーンは、手をつないでいるようで美しかったです。家福が妻に対して抱えている問題と、みさきが母親に対して抱えている問題、罪の意識のようなものが、全然違う話だけどシンクロし、共鳴して変化が起こっていく。

 互いに向き合う対話だと、伝達しようとしたり説得しようとしたり、相手に対して意思が働く。でも並行関係だと、良い意味でそれぞれ勝手にやっていることが、共鳴、共振し合い、お互いに影響を与え合う。

 私自身、障害がある人の身体感覚について研究するなかで、並行や横の関係が持つ積極的な価値を感じています。映画の中で車で移動する2人は、視覚障害者と伴走者がロープを介して長時間走ることで一つになって進んでいく姿に重なりました。

 変化に対応する柔軟性が求められる現代。どんどん流れていく日常で放置してしまいがちだけれど、誰しもが何らかの心の傷を抱えている。究極的には自分の心に対しても「向き合う」ことはできない。映画では自分の心に「折り合いをつける」というせりふがありましたが、そういう付き合い方が大切なのではないかと感じています。

■並んで走り、共鳴し合う関係 伊藤亜紗さん(美学者)

 この映画では「並行関係」が多く描かれます。車では運転する人と乗っている人、バーでも向かい合うのではなく横に座る。家福とみさきが車の中でたばこを吸い、その手をサンルーフから出して並べるシーンは、手をつないでいるようで美しかったです。家福が妻に対して抱えている問題と、みさきが母親に対して抱えている問題、罪の意識のようなものが、全然違う話だけどシンクロし、共鳴して変化が起こっていく。

 互いに向き合う対話だと、伝達しようとしたり説得しようとしたり、相手に対して意思が働く。でも並行関係だと、良い意味でそれぞれ勝手にやっていることが、共鳴、共振し合い、お互いに影響を与え合う。

 私自身、障害がある人の身体感覚について研究するなかで、並行や横の関係が持つ積極的な価値を感じています。映画の中で車で移動する2人は、視覚障害者と伴走者がロープを介して長時間走ることで一つになって進んでいく姿に重なりました。

 変化に対応する柔軟性が求められる現代。どんどん流れていく日常で放置してしまいがちだけれど、誰しもが何らかの心の傷を抱えている。究極的には自分の心に対しても「向き合う」ことはできない。映画では自分の心に「折り合いをつける」というせりふがありましたが、そういう付き合い方が大切なのではないかと感じています。