映画はストーリー・物語があるので、文学や演劇に近く感じることが多いかもしれない。けど、違うのではなかろうか。
むしろ、音楽や建築にちかい生産品・構成物なのだろう。
作曲家がいて、演奏者がいて、技術者たちが集まってリリースする。
施主がいて、建築家がいて、工務店・棟梁が指揮し、諸職が寄って仕上げる。そんなところが似ている。ともに集団作業なのも同じだ。
と、ここまでは何度か書いてきた。
今日は、別の話。
映画は、理解することより、身をゆだねて体感することのほうが楽しいし、ふさわしかろう という話。
五官を総動員して、全身で受け止めひたる表現物、体感 質感 触感 手触り 肌ざわり‥‥ぬめり、とろみ ねばり サラサラつやつや ふかふか ほっこり まったり ‥‥‥。
皮膚感覚で着る、身に着ける 身にまとう、
浴びる、浸かる、泳ぐ、全身浴。入浴後のぬくもり、視聴後の後味も捨てがたく尾を引く そんな産物。
空間や空気を呼吸する。テクスチャー フレーバー ムード トーン タッチ ニュアンス アトモス アトム コスモス ‥‥
着心地、居心地、住み心地を味わえばよい。意味よりテイスト。理解より共感。合う合わないで決めればよい。
虚か実かにこだわるのではなく、目を凝らし、耳を澄まして、浴びればいい。味わえばいい。