思えば映画にとって"観客"という言葉は少しそぐわなくなっているような気がする。映画館に足を運んで身銭を切って映画を楽しむ"観客"だけの時代はとうに過ぎている。TV放映、パッケージ・レンタル、ネット配信(VDOからサブスクリプションまで)を"観客"と一括りにするのは無理がありそうだ。じゃあ何なのか、何と呼べばいいのか、これが結構 悩ましい。
視聴者、観衆、鑑賞者、見物人、来訪者、訪問者、‥‥
消費者、利用者、お客さん、客人、お得意先、御贔屓、ひやかし、‥‥買い主・買い手とも、まろうど・マレビト(来訪神)とも
受け手、聞き役、享受者、受信者、傍観者・局外者・外部の人、野次馬、傍目、なんてのまで。
英語も様々
audience:オーディエンス、visiter:ビジター、customer:カスタマー、fan:ファン、repeater:リピーター、galary:ギャラリー、addict:アディクト、junkie:ジャンキー、enthusiast:エンスージアスト
管理人が日頃から重宝している《連想類語辞典:日本語シソーラス》で"観客"と当たってみた。山ほど出てくる中に"成り行きを見守る人"というのがあった。成る程ね。
「深入りしないで、遠くから見守る」「模様眺めでお手並み拝見」「距離を置く静かな見巧者」
さすれば、"観客"とは、この "身銭を切って映画に向き合う物言わぬ人士" なのかもしれない。(この項 また 続ける)