2ペンスの希望

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濱口 さんさん  映画と小説

濱口竜介さんがL.A.にあるジャパン・ハウス・ロサンゼルス主催のオンラインイベントで発言した記事を読んだ。備忘録的に幾つか書き留めておく。

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映画・演劇・小説:アダプテーション(脚色)について

「文学作品が優れていればいるほど、単に文章を映像に置き換えるだけでは、文章が作り出している感動を味わうことはできません。映画は映画のやり方で、現実とフィクションの間を捉えてしまうカメラの能力を使いながら、小説をどう映画にする方法があるのかと考えていく必要があります」

「(小説と映画の)中間的な存在として、演劇が存在しているのではないかと思います。演劇は書かれたテキスト、口語ではないものを口にする特殊な行為です。一方それが正当化される場で、観客は不思議には思いません。村上春樹さんが書かれたテキストがベースにありますが、チェーホフは本当に強い力を持っていると思いました。テキストを役者の体に保存し、それが相手との相互作用によって感情を引き出すものですが、チェーホフのテキストを使ったときに出てくる感情の量は半端ない(笑)。チェーホフのテキストには、現実とフィクションの境界をなくしてしまうような、人々の体に直接訴えかけるような力を持っていると思いました」。