2ペンスの希望

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濱口 燦燦 間:あいだ はざま

濱口竜介 in ジャパン・ハウス・ロサンゼルス主催オンラインイベントから三つ目。イベントのテーマは「日本映画における間(スペース)」というものだった。

■ 間:あいだ はざま あい ひま なか あわい ‥‥ま

「“間”に関してあまり概念的に考えたことはありませんでしたが、撮影現場では『もうちょっと間をとってください』など、よく使う言葉です」

「映画とはそもそもフィクションと現実の間にあるもの」

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「カメラを使って映画を作る最小の単位に“ショット”があり、空間と時間を区切るものです。まず、フレーム(画角)によって空間を区切らなくてはいけない。そしてカメラの回し始めと終わりにより、時間を区切らなくてはいけない。どこからどこまでを区切るかが監督の仕事だと言ってもよいと思います。
この作業において、現実とフィクションの間(はざま)がすでに発生します。というのは、カメラというのは人間の知覚能力より遥かに優れた光学的記録能力を持っているので、現実そのままの知覚的記録がなされます。一方で、これは現実のすべてを記録したものではなく、空間的・時間的断片としてしか捉えることができません。これは現実の映像ではなく、フレームの外側やカメラを回し始める前になにが起きているかわからないので、そこには常にフィクションの可能性があります。ショットを撮るという映画の最小単位の中に、すでにフィクションと現実が存在しています。この断片と断片を組み合わせ、現実とはまったく違うもう一つの現実みたいなものを作り上げていくのが劇映画、フィクションになります」。