2ペンスの希望

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訳本『ビデオランド』

ダニエル・ハーバートというアメリカ人が書いた本『ビデオランド レンタルビデオともうひとつのアメリカ映画史 』をパラパラ読んだ。【2021.12.20. 作品社 刊】

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新型コロナでさらに拍車のかかる「文化の断片化、社会的な疎隔が進む」ご時世にあって、「映画をパッケージ化したビデオメディア(VHS,Betamax,LD,DVD,Blu-ray,‥)の登場とその後の無線 デジタル ネット社会化がもたらした映画文化の変容 変化を、アメリカのレンタルビデオショップの盛衰を通じて描き出した〈労作〉だ。さして売れそうにもない本の日本語版を出そうという訳者(生井英孝 丸山雄生 渡部宏樹)と版元(作品社)の蛮勇にも敬意を表す。

日本語版は300頁を超す。遠いアメリカ大陸の馴染みのない大手ビデオレンタル資本のチェーン店からスモールタウンの中小独立店までが俯瞰的網羅的歴史的にルポルタージュされていく。文化史的に、経済産業史的に。しんどいのでパラパラ読んだだけなのがほんとに申し訳ない。面目ない限りだが、読み留め 目に付いたフレーズ・キイワードを幾つかメモリアルとして、メモってみる。

ローカル化、個別/分散化、細分化、断片化、特殊/特定化、差別化、その一方で‥ 卓越化(distinction)、賦活化/力付与化(empower)、

批評から要約へ、選択に寄り添う、ガイドブック、カタログ、アドバイスナビゲイト、キュレーション、‥‥ 網羅性、索引の充実度、

百科全書ではなく「早引き案内(fingertip guide) 」、

ロングテールメタデータ([文字]=批評 から [数字]=評価/レイティングへ )

 

1992年版『ビデオハウンドのゴールデン映画レトリバー』は「とにもかくにもビデオ購読者が選ぶに際して発想しそうな、ありとあらゆる基準を総ざらえして」「典型的な「平凡な人(エブリマン)」型の読者を念頭に、直観的なものからユーモラスなもの、ヘンなものまで索引自体が幅広い。「フィルムノアール」や「ホラー」のような伝統的なジャンルに加えて「中世時代劇」「無一文から大富豪」「吸血鬼パロディ」のような変型もある。「ビッグバトル」「猫」「火事」「マッチョマン」「政治」「旅行」など、登場する要素や断片にも分類が当てられている。」「95年版になるとこの手の分類項目は一気に400近くにまで増加し、総ページ数1574ページ、そのうちほぼ500ページが索引で占められている。」

1980年代後半から2000年代前半にかけて出版された『ハダカの真実ビデオ案内』は、「映画の中で裸体を見せた俳優ー主として女優ーをリストしたが、出演者ごとにページが分かれ、その俳優が裸体を見せる映画の一覧と裸体を見せる時間(おそらくはせっかちな視聴者がその場面に早送りするだろう)、また裸体はどの程度見えるか、どんな動作でかなどが説明される。」

フーっ、ため息が漏れる。