2ペンスの希望

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2025問題

「2025問題」をご存じか? んっ、「団塊世代がおしなべて後期高齢者になり医療看護介護問題がさらに深刻化する超高齢化社会の到来です」って。たしかに社会全般に及ぶこの根底的課題も重大問題に違いない。けど、今日は別の話。

1980年からユネスコは10月27日を「世界視聴覚遺産の日: World Day for Audiovisual Heritage」と名付け、膨大な磁気原版テープの保存・提言・警告に乗り出している。「再生機の保守サービスの完全終了(2023年3月)、技術者の減少、キャリアの経年劣化などから、世界中でテープの再生ができなくなる。2025年までにデジタルファイル化されなければ、永遠に失われかねない。」と説く。

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日本でもNFAJ(国立映画アーカイブ)、FPA(映画保存協会)はじめ様々な機関・団体が取り組んでいる。NFAJでは2021年の秋『[緊急フォーラム] マグネティック・テープ・アラート』を開催した。

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その呼び掛け文⇓

フィルムからデジタルへの緩やかな移行期といえるこの50年間は、磁気テープの時代でもありました。プロの映画人からアマチュアまで無数の人が、映画はもちろん、地域や職場、家庭で多様な記録映像を生み出しました。それらの膨大なビデオテープの映画・映像は、2025年までにデジタルファイル化されなければ、永遠に失われかねない。

思えば、携わってきた仕事の前半はフィルム原版だったが、1980年代半ばから保存原版は磁気テープに変わった。1インチ(吋)2インチ‥オープンリールからカセットへ。アナログだったものがやがてデジタル記録へ。今ではフィルムもテープも姿を消し、メモリーカードになった。

フィルム時代は、写っている映像が目視できたがテープでは無理。ましてメモリーカードではなおさらだ。目視画像から不可視信号へ。ブラックボックス化が果てなくすすむ。

時計の針は戻せない。そう書いて、はたと気が付いた。時計だって針がないのが当たり前の時代だ。「時計の針」が若い衆に伝わらなくなる時代も遠くはなさそう、だ。嗚呼、どうしよう。どうしようもない。しょうもない。

今日は冴えない話題で蒙御免。