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地方ローカルの映画館:豊劇

経営不振に陥った地方の映画館が2022年8月またひとつ「休館」する。但馬地方唯一の映画館「豊岡劇場」

ウイキペディアにはこうある。

1927年芝居小屋として開業、戦後映画館として2スクリーンを運営してきたが2012年3月に一度「閉館」した。その後2014年7月、有志による「豊劇新生プロジェクト」が立ち上げられ、クラウトファンディング(110人から約271万円)や国の補助金などを利用してデジタル映写機を導入するなどして2014年12月「復活」して8年目。

往年の映画館の佇まいは、懐かしい匂い。建物が古くて暖房が効きづらいせいかコタツ席もある ↓

地元で不動産業を営む石橋秀彦さんらが「経営」してきたが、積年の赤字が堪えたようだ。

再開後の7年間、一度も黒字経営になったことはなかった。年間900万円の赤字を垂れ流す状態。見積もりでは、年間2万3000人の入場がないと収支がとんとんにはならない。復活当初5000~6000人だった入場者数は2019年には何とか1万7000人を超えるまで伸ばしていたが、そこにコロナ禍。緊急事態宣言で休業、再開後は年間8300人と半分にまで落ちてしまった。キネマ旬報Web.記事その他から無断引用。一部編集】

2022年3月1日付 石橋代表のお知らせがコレ ⇒

toyogeki.jp

誠実で身につまされる。

2019年豊岡市に移住した劇作家・演出家の平田オリザはこう語っている。「民間での単独経営は難しい、かといって行政主導になると制約も増える。うまく公的資金を入れながら民間の自由さを保つかが大切。再生のための休館であってほしい。」【ラジオ関西 番組『平田オリザの舞台は但馬』】

NPO法人の立上げ」による「経営母体」の引継ぎ‥‥、黒字経営、運営の健全化に至るまでの道のりはきっと平坦ではないことだろう。今の石橋秀彦代表は1962生まれの60歳、お知らせ末尾に現場責任者とある伊木翔さんは1987年生まれ。まだまだ若い。首尾よく上手い形でバトンがつながることを是非とも期待する。