2ペンスの希望

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『「坊ちゃん」の時代』 追記

『坊ちゃんの時代』からもうひとつ。「第三部 かの蒼空に」 

主人公は啄木石川一。強心臓の浪費癖。前借・寸借の常習犯。女郎買いを生理的無駄遣いと日記に書く。自分の性格の底にひそむ逃避癖と放埓さ(の必然)を自覚した近代人。夭折の天才歌人像をくつがえし、生活破綻者、愛すべきゲスとしての啄木像を活写した快作だと読んだ。

もとより、実像を知っても、短歌の精華は変わらない。

そこが文芸の底力。悩ましいことだ。

□ 追記

ちょうど 京都国際漫画ミュージアムで「描くひと 谷口ジロー展」が開催中だったので、出かけて啄木の原画展示を見て来た。