2ペンスの希望

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映画『REVOLUTION+1』を巡って②

朝日新聞の記事で足立正生監督はこう発言している。

スピードが速いと言われるが、(かつての)ピンク映画はこんなものじゃない。もっと短い日数と少ない予算で撮り上げていますよ

いくら粘っても、自分の中にあるイメージと、撮った映像の間に誤差が残るのは当たり前だと僕は思っています。だから、凝るべきところを凝らないで済んでいる。その分、スカスカだったり乱暴だったりもするわけですけど(笑)【朝日新聞 2022年9月25日 20面文化欄「日本映画に活!」石飛徳樹編集委員

山上容疑者の内面に迫りたかった彼が何に追い詰められ、どう煮詰めていったのか、それだけを一直線に描きました

ほかでは、こんなことも。

オレが山上を尊敬すると言うと周りは心配するんだけど、その意味は『父親と兄が現実社会に負けてしまったのに、彼は最後まで自分が壊れることなく現実に立ち向かった』という意味での尊敬なんだ。だから若い人に見てほしい。現実の理不尽を変えるのは自分の意志を貫き通すことができる若者たちだから日刊ゲンダイDIGITAL 2022/9/23/9:06配信 山田勝仁】

批判は全部、引き受けようと思っている。犯罪は、犯罪。犯罪という結果に関しては明白。彼(山上容疑者)を英雄視しない、という前提で、この映画を作っている。山上の心の中を、のぞくということ…それは我々、映画を作る、表現を試みる者の作業。それが山上と向き合うということ

僕らの若い頃より、生きづらい…若者は極限まで追い込まれている。切れる人、切れざるを得ない人が、それだけ多いのかと悲しみます。山上の(事件の)実行も、悲しみます。そういうところにきている。100%、若者を見詰めるところからやりたかった【日刊スポーツ 2022/9/27/21:16 配信記事】

その昔、かわら版(時事ニュース)を時を置かずに素早く戯作し、舞台にかけた近松門左衛門のひそみに倣ったのか。

或いは、

若かりし頃永山則夫が見た風景を追って作った映画『略称・連続射殺魔』(1969年製作 1975年公開 )の血が騒いだのだろうか。

作り手としての思いは分かった。映画の持つエネルギーと荒々しいスピードに再び挑みたいという制作者たちの思いは嘘じゃなかろう。

けど、映画は出来上がったものがすべて、だ。その完成度・到達点と強度が問われる。(そんなこと 足立監督は百も承知の上のことだろう。)

その上での発言・挑発行為として受け止める。

〈明日に続く〉