あらためて、映画は文学や演劇より、ずっと音楽や建築に近いのだと再認識した。
ストーリーやドラマを否定するわけじゃないが、それ以上に重要な要素があるのだと思う。リズム(律動)テンポ(拍調)メロディ(旋律)ハーモニー(和音 コード進行)音色 ‥‥‥ 生理的全身感応体験。包まれてあることから生まれる陶酔・高揚・茫然・自失。ノリ ビート グルーヴ ‥‥‥ まだまだある。要はドラマという乗り物以上に、乗り心地が勝負どころ、命を決める。
建築も同じだ。
見てくれ 外観の装飾とは別の居心地、そこにある空間に包まれることで生まれる平安、流れる空気が醸し出す安息がない建造物は落第だ。
音楽も建築も、隅々・細部まで丁寧に設えられ揺るがせにしない「譜面」=「設計図」からすべてが始まる。映画もそうだ。各パートの専門者がそれぞれの持ち場で力を発揮し、その相乗からひとつの達成を生まれる。
がっちりしてるのにゆったり、息を呑むほど張り詰めながら、ゆっくりほぐれたっぷりくつろげる。身体の底までほっこりして心地よい。
もっとも、ジャンルもスタイルも多種多様に拡がっている。
音楽には、即興、ソロ活動のシンガーソングライターも居れば、フルオーケストラ編成もある。
建築だって、DIYのログハウスから超高層ビル・大伽藍まで様々。
どちらもあり、いずれもOKだ。見かけで優劣は決められない。ただ、聴けばわかる。住めばわかる。頭脳で考えるより、身体で感じることをお奨めする。
だって、好き嫌い 合う合わない は誰にでもあるのだし、頭より体のほうがずっと正直なのだから。