2ペンスの希望

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村上春樹 映画の旅』という本がある。冒頭にはこうある。「早稲田大学演劇博物館では、このたび二〇二二年度秋季企画展「村上春樹 映画の旅」を開催いたします。小説家・村上春樹氏と映画の関係をさまざまな資料によって振り返り、氏の創作活動において映画がどのような意味を持ってきたかについて考えます。」【2022年10月1日 フィルムアート社 発行 早稲田大学坪内博士記念演劇博物館 監修】第5章には「映画化される村上ワールド」とあり、1981年大森一樹監督作『風の歌を聴け』から2021年濱口竜介監督作『ドライブ・マイ・カー』まで、村上春樹が原作を提供した映画9本が挙げられている。

が、しかし、だ。少なくとも 一作 抜けている。

1988年野村惠一監督作『森の向う側』。短編集『中国行きのスロウ・ボート【1983年 中央公論社 刊】の中の「土の中の彼女の小さな犬」を原作に、きたやまおさむや一色彩、藤田進、三宅邦子らが出演する。

もとより、あらゆる調査・研究は百パーセントとはいかないものだ。パッチモンとかバッタモンとは言いたくない。けど、早稲田の看板を掲げる割にはいささか杜撰なやっつけ仕事ではなかろうか。イマドキ、ちょっとネットをググれば、検索サーベイは難しいことではないはずだ。野村惠一は映画史に大文字で名を遺す監督ではない。生涯 生地(せいち)の京都を離れず5本の映画を撮った小文字の監督だ。だからといって無視されてはたまらない。寂しく悲しくて情けない。ここに WE INSIST!する。

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