ルイ・マル作『地下鉄のザジ Zazie dans le métro 』( 1960)を久しぶりに見直した。
原作は、あのレイモン・クノー。そう 一筋縄ではいかない曲者 前衛小説家。その昔、かの生田耕作先生の日本語訳で読んだ。
有名だった決めゼリフ《 mon cul 》⇒「けつ喰らえ」もほぼそのままで字幕に登場している。
ラストシーン2日間のパリ生活を終えたザジと再会した母親との会話。これも有名なエンディングのやり取りも懐かしい。
– Alors tu t’es bien amusée ?
– Comme ça.
– T’as vu le métro ?
– Non.
– Alors, qu’est-ce que t’as fait ?
– J’ai vieilli.
⇓
– 楽しかった?
–まあね
– 地下鉄は?
– (Non. 無字幕)
– じゃ 何を?
– 年を取ったわ。
《 J’ai vieilli.》⇒「年を取ったわ」着地はお見事、鮮やかに決まった。
翻訳字幕は、寺尾次郎(これまた懐かしのバンド=シュガー・ベイブのベーシスト)
そこで思い出した。昔見た映画では「年を取ったわ」じゃなく「大人になったわ」だったじゃなかったかな。「年を取ったわ」のほうが真正面の直球!断然 良い。
今となっては牧歌的で古めかしい古典映画のひとつ。その印象は否めないが、平仄が整い、お行儀のよい、良く出来た映画には違いない。
ふや町映画タウンでは「☆☆:けっこうおすすめ!!」