2ペンスの希望

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映画は練り物

「ゲストが来る日は客が来るが、あとはパラパラ」という声をよく耳にする。とにかく映画館にお客さんが来ないのだ。入りがいいのは、主演俳優や監督・関係者が舞台挨拶に立つ日だけ。あとは皆さん、DVDで見ても同じだと考えているようだ。何らか付加価値がついていないとわざわざ映画館には足を運ばない、ということなのだろう。
しかしである。
映画は、そもそもからナマものではない。バンドのライブや生身の演劇とは違う、れっきとした「加工品」乾物・干物の類いだ。
以前、誰かがどこかで、「新鮮なままパッケージされた缶詰だ」と書いていたのを目にしたことがある。もっと言うなら、よく練られた「練り物」だといいたいところだ。オマケが付かないと映画館に行かない、というのでは、チトかなしい。
暗闇の中で、見知らぬ人々が「練り物」を通じて、遠くにいる(目の前にはいない)作り手(たち)に思いを馳せる‥そんな〈愉しさ〉が失われていくのは、いかにもさびしい。

何処かの元知事さんじゃないけれど‥どげんかせんないかん