2ペンスの希望

映画言論活動中です

2013-09-01から1ヶ月間の記事一覧

近頃巷に‥

近頃巷に流行るもの:映画篇。 表通り‥‥設定はベタ(ありきたり)或いは荒唐無稽、演出は記号的、判り易いキャラ構成、加えて重箱の隅々にまで施された小ネタてんこ盛り(+判読要請圧力大)、そんな小技・小手先で固めた安全・安心・安穏・安牌の行列。期待…

翻訳

英語についてはからきし駄目だった。今もそうだ。読めない。喋れない。 それでも外国作家の本を愛読したりしてきた。もちろん翻訳でだ。 「翻訳は一種の批評である」という一文で始まる吉田健一の「翻訳論」にこんなくだりがあった。【典拠:『訳詩集葡萄酒の色…

屈折の時代

若い友人(といっても結構のオッサンだが)がやっているロックバンドの音楽を聴いた。普段ロックなんか聞かないのに結構聞けた。 年季の入ったヘビメタバンドながら超有名某フォーク歌手(団塊世代ど真ん中)のテイストバリバリの音楽だったからか。 面白か…

閉じないこと

自称作家・自称監督が多すぎる。 いいじゃないか当人が満足して、周りが盛り上がっているだけでも‥。 確かにその通りかもしれない。作らないのでは始まらないが、作ればいいというものでもなかろう。出来上がった「作品」はご当人と取り巻きには、努力の結晶…

ハイコンテクスト反対!

今の時代はハイコンテクストな時代なのだそうだ。 ハイコンテクストとは、「文脈依存度の高い」という意味の言葉らしい。文脈依存度。 つまりは、目の前のものを自らの感性と物差しで味わうのではなく、 そのものにまつわる知識や教養といった情報をどれだけ…

スター消失タレント跋扈

昨日の続き。 スクリーンとモニターとディスプレイ・タブレットによって、映画との距離感・向き合い方が変わると書いた。そして、ふとこんなことを思った。 この関係は、銀幕のスターが消え去り、すぐ近くにいるクラスの人気者めいたタレントたちばっかりが…

「常在能動」

昔はスクリーンだけだった。映画館の暗闇に包まれて見た。 そのうちに公民館や講堂に映写機(16mmが中心だった)を持ち込んでの映写会も増えてきた。暗幕が不十分だったりして、光の遮断が完璧でなかったり、隣りからの音が漏れてくる中で多種多様な映画…

戦争柄着物

面白いものを見た。といえば不謹慎かもしれないが、戦争中の恐らくはお宮参りや節句用の男児衣装だったのだろう、戦争柄着物。 スイス・アルプス山脈フィアヴァルト・シュテッテ湖畔に住む美術商、ヴォルフガング・ルフさんはじめ、欧米にはコレクターが何人…

三吉語録「思案はタケノコ‥」

阪田三吉の言葉としては、「銀が泣いている」が有名だが、ラジオでこんなのを知った。 「思案はタケノコみたいなもので、大部分は土の中に埋もれている」 深く作り深く読め、ということだろうか。表層の向こうに拠って来たる厖大を想像せよ、というところか。 映…

紙幣三題(零円札・偽造法幣・贋札)

もう大昔のことだが、赤瀬川原平さんの零円札を購入したことがある。たしか五百円だったと思う。送金したら暫くして「大日本零円札発行所」のゴム印葉書が送られてきた。「いま立て込んでいて鋭意制作中なので暫し時間を」という文面だったと記憶する。その…

題名2

正直な話 長い職業人生活の中ではやっつけ仕事もこなしてきた。 毎年何十本も採用活動支援ビデオ(世に言うリクルーティングビデオ)を作っていた時期があった。その頃のタイトルには「未来への架け橋」「明日を夢見て」なんて、通りいっぺんのネーミングでお…

筑前おしぼり人形

テレビ番組「探偵!ナイトスクープ」(制作ABC)のファンだ。 東京で単身赴任生活をしていた頃からだからかれこれ25年になる。(今はどうだか知らないが当時は首都圏では金曜の深夜枠ではなく日曜昼の放送。業界用語でいう所のいわゆるアパッチ=曜日・…

『3:10toYUMA』

録画したまま溜まっていたBS・OAの洋画を立て続けに観た。BB主演作、Aドロン主演作、Sマックイーン初め豪華俳優陣の共演作、そして、コレ。『3時10分 決断のとき』【原題は 3:10toYUMA 1957年米】 コレのみ初見だったが、抜群に良…

『不合理ゆえに〜』

思うところあって埴谷雄高『不合理ゆえに吾信ず』【1961年6月刊行の現代思潮社版】を読み直した。 埴谷雄高さんがこれを書いたのは、昭和十年代(発表したのは1939年) 管理人が夢中になって読んだのが、昭和四十年代(1969年から70年にかけて…

豊かになることで失っていくものがある

数日前 ある寄り合いがあった。 そこで同年輩の銀行マンOB・Mさんからこんな話を伺った。 働き盛りの40代、インドネシアでの海外赴任時代の出来事。 当時はメーカーや商社・JICAなどの海外駐在員は皆、限られた高級住宅地に居住し、現地の人々が暮…

場があること、空間があること、形があること、容れ物があること、 「容器」の重要性に改めて気付かされる。 舞台があること・舞台装置の必要性と言いかえてもよい。 たとえその中身がいかにたどたどしく、幼くあっても「場=容器」そのものまで否定してはいけ…

分かり易い‥

分かり易い映画が多すぎる。 濃い味付け、添加物・保存料たっぷりのジャンクフード、噛まなくても呑み込める流動食、幼児向けウエハース、そんなのばっかりが目立つ。黒ブチメガネに白ブラウス、タイトスカートの女教師、サングラスに派手な色柄シャツを着込…

作家とデザイナー

若い人とのミーティングで、作家とデザイナーという話になった。 彼はこう言った。 「作家というのは自分の作りたいものを作る人、妥協しないし、出来ないし、またする必要もない。極論するなら、作ればOK。観客は不要。評価も毀誉褒貶も埒外。 対して、 …