2ペンスの希望

映画言論活動中です

2017-03-01から1ヶ月間の記事一覧

何でもあり らしさの刻印

高野慎三さんの『貸本マンガと戦後の風景』【2016年11月20日 論創社 刊】を読んでいる。時間も元手もたっぷり掛けた高野さんの「苛立ち」「物言い」分からぬでもないが、いささかルサンチマンが強すぎる気もする。それでもはじめて知ることも数あった。怠惰…

喫茶「漫画人」

ひょんなことで、ライター金原みわさんの「日本一入りにくい漫画喫茶」の記事を読んだ。どこの地元にもコロがっているような話を集めた地元メディアWebsite:「ジモコロ」に載っている。 URLは、http://www.e-aidem.com/ch/jimocoro/entry/miwa04 時間のある…

腕次第

「原作が人気コミックばっかり、もっとオリジナルシナリオを大切にしなければ‥」 そういう嘆きもよく聞く。 けど、オリジナルならクソでもミソでもなんでも良い、というわけにもいかない。 いたずらなオリジナル信仰は困りものだ。 寸足らず、舌足らず、出来…

当てにできるプロがいない

京都ふや町映画タウンの大森店主さんとの最近の会話、続き。 アクセスが簡便になり、目の前に膨大な情報が広がるようになった今、映画ファンは何を頼りに映画を選んでいるのだろう。 映画評論家は、昔から「食えそうになかった」。それが絶滅、看板を変えて…

邦画は映画じゃない

ずっと邦画に肩入れして映画に接してきた。 この国に生まれ、この国で育ってきたのだから当たり前のこと、そう思ってやってきた。それでもこの数年、その貧相・貧弱が目にあまる。 邦高洋低なんて一体どこの国の話。どの口で言ってるの。映画以前、映画未満…

オンリーワンより‥

紙の新聞購読はとうの昔に止めている。だから知らなかったのだが、教えられて「鈴木清順監督を悼む 映画監督大森一樹さん」という記事を読んだ。 【朝日新聞デジタル:http://www.asahi.com/articles/DA3S12820876.html】談話を記者が纏めたものだ。 「娯楽…

メビウス線:タッチをころしてエモを描くテクノ

昨日の『漫勉』山本直樹の回 続き。 細かな技法の話も面白かった。試しに放映中の同時進行ツイート覗いてみた。出るわ出るわ反響わんさか見つかった。 見る人は見てる。 ▼ 触っているところは線を消して密着感を出す。(坂本欣弥) 線を消す(抜く)ことで肉感…

フルデジタル

NHK Eテレ番組『漫勉』の「山本直樹の回」を見た。 知らなかった。フルデジタルでの作画。それも20年以上前から。 アシスタント無し、三畳間の仕事部屋に独り。軍手の指先を切って、ペンタブを揮う。 山本:デジタルのいいところはいくらでも消せる、引き算…

実相寺の『風』

是枝裕和『映画を撮りながら考えたこと』【ミシマ社 2016年6月 刊】、樋口尚文『実相寺昭雄 才気の伽藍』【アルファベータブックス 2016年12月 刊】を立て続けに読んだ。ともにテレビディレクターから映画監督になったという共通点がある。もっとも1962年生…

『ビルディングと小便』

浅原六朗といってもピンとくる人は少ないだろう。 昭和初期に活躍した新興芸術派 吉行エイスケや龍胆寺雄らほどにも知られていない。忘れられた作家である。戦前から戦後にかけて長く 日本大学芸術学部文芸学科の教員を勤め、散文からは離れた晩年には俳句を…

「うまくなりたい」だけ

NHK ETVで浦沢直樹の漫勉シーズン4が始まった。やっぱり面白い。 浦沢とデビュー同期の少女漫画家清水玲子さん(54)の回を見た。 U: ぼくら何でこんなにずっと描いているのかって あの「うまくなりたいだけ」なんですよね 欲望が描かせている感じ S: そうな…