2020-01-01から1年間の記事一覧
時間が巻き戻せないことは百も承知だ。アナログからデジタルへ。ケミカルからエレクトロニクスへ。フィルムの時代は戻ってこない。けど、フィンランドの映画監督アキ・カウリスマキはかつてこう言っていた。 「新しい技術にいつも過剰にはしゃぐ監督たちって…
永らく東京のマンモス大学芸術学部で「撮影研究」を教える友人の映画キャメラマン氏から、対面授業が再開したという便りを頂戴した。感度の低い35mmフィルムで、助手さん数人がかりで運搬移動するNCミッチェル撮影機の時代からやってきたベテラン(ロートル?…
本業でない人が映画の監督を務めるという例は昔からイヤというほどある。嚆矢はコクトーか。劇作家の例は多い。寺山もたくさん。三島由紀夫も石原慎太郎も村上龍も作ってきた。三島には監督作品だけでなく主演映画もある。 作家、ミュージシャン、芸人さん、…
いやぁ、面目ない、ふがいない。 この前、映画と漫画は若い頃からの二大好物と書きながら、実は永らくさぼりまくってきた。とりわけ漫画はこの20年近く、新しい作家さんのものは数えるほどしか読んでいない。漫画も映画の世界同様、殆どのことはやりつくされ…
先回「紙の映画」と書いたら、もう一つの「紙の映画」を想い出した。そう、漫画だ。映画と漫画は管理人若い頃からの二大好物である。 漫画編集者の島田一志さん(1969年生)に、9人の漫画家にインタビューした本『漫画家、映画を語る。9人の鬼才が明かす創作…
情けないことに、このところ映画館に行かず、映画にまつわる本ばかり読んでいる。なに、コロナのためではない。食指の動く映画がまるでないのだ。映画のせいじゃない。お前の精力減退が原因だ。悪い友人はそういう。確かにそうかもしれない。 というわけで、…
今日は論証抜き。独断と偏見を少々。な~に、いつものことだ。 コロナウイルスのお陰、うろちょろジタバタせずの週休七日・在宅ワークが続いている。小人閑居して不善を為す。で、よからぬ暴言を一つ。 21世紀に入ったあたりから日本の映画は、「こどものお…
雪朱里さんの本『印刷・紙づくりを支えてきた34人の名工の肖像』【グイフィック社 2019年12月 刊】を読んだ。表紙が凝っている。部分的にぼやけた擦りガラスのような文字の奥に鮮明な人物写真がある。顔は見えないが何か作業中の仕事場みたい。何をしている…
今日は映画からほど遠い話題! 「いじわるベンチ」というのをご存じだろうか?言葉は知らなくとも、公園など町のいたるところに点在しているので目にしている筈だ。そう、仕切りを付けて、寝転がれないようにしたベンチのことだ。 いつ頃からはびこりだした…
長く利用してきた京都の本屋さん=「天に唾する地べたのお店」がゆるゆると閉店準備に入った。全国紙支局、地元地方紙が紙面化し話題になっているが、店主さんは至って平温平熱、泰然自若。告知のメルマガが面白かったので、無断で引用してみる。⇓ [http://w…
ネット散策していたら、YouTubeで、映画監督 塚本晋也がSONYのスマホ“XPERIA 1”で映画館 高田世界館を撮った画像に出逢った。 『現存する日本最古級の映画館』映画監督 塚本晋也氏がXperia 1で撮影 画質は綺麗だ。ただ贅沢な不満、無いものねだりを承知でい…
いにしえの映画館の写真を撮り続けている中馬總さんのことは以前にも書いた。 kobe-yama.hatenablog.comその中馬さんの新しい本を読んだ。 文:藤森照信 帯:宮崎駿 編集:久下まり子 校閲:岡田秀則 出版:青幻舎(京都) 色んな人々が、中馬さんの思いを汲ん…
相変わらず、映画本コーナーに行くと、映画関連の新刊本がズラリと並んでいる。お手軽・気軽なやっつけ仕事から手間暇かけた篤実労作まであるのは、映画本体と同じことだ。そんな中、通読オススメ本を一冊。『映画監督・神代辰巳』【2019年10月25日 国書刊行…
60年以上映画に親しんできて、つい先日、「足柄製作所」という名前を初めて知った。35mm16mmの映画のフィルム缶を一手に作っているメーカーさんだ。確かめた訳ではないが、シェアナンバーワンの専業メーカーだと思う。 映画制作会社、撮影所、現像所、配…
『京都詩人傳』から、もうひとつ。 文中に、「短歌は相聞と挽歌。「泣き」が入る。」とあった。 ならば「俳句は叙景。もっと乾いている。」そう言えそうだ。 湿度の和歌、乾燥体の俳句。 とするなら現代詩は、さしずめ「アクロバティックな技法=詩法の精練(…
若い頃から「現代詩」はチョコチョコ読んできた。 さすがに付き合いきれなくなって、21世紀に入った頃から「現代詩年鑑」は買わなくなってしまったけれど。 ということで、正津勉の『京都詩人傳 一九六〇年代詩漂流記』【2019年8月 アーツアンドクラフツ 刊…