2ペンスの希望

映画言論活動中です

2013-05-01から1ヶ月間の記事一覧

粉と脂

最近の映画の悪口は一杯ある。 釘と接着剤で誤魔化したハリボテ映画、水っぽいお子様ランチ、歯応えのないウエハース映画、‥‥幾らでも出てくる。嫌になる。 漫画家でタレントの西原理恵子が対談で「安いもんは粉と脂で出来てますから。」と言ってるのを見つけ…

人は変わる

昔思っていたことが、今は変わってしまったなんてことは幾つもある。 例えば「平等」 昔は「みんな一緒」 ひとつになる ことだと思っていた。 今は「みんな違う」違いを認めあう ことだと気づいた。 例えば「連帯」 昔は「人の為」 今は「自分の為」自分の為の…

骨と皮

なんとかかんとか、シナリオの第一稿を書き上げた。 題名も主題もまだ内緒。包装紙をとっぱらったみてくれはといえばまあ「骨皮筋衛門」(正確には、骨皮筋衛門之左衛門尉主水之介というらしいが‥)。「骨と皮」ばっかり、がりがり痩せて生硬、ごつごつ骨張…

監督不行届

細野辰興監督(あの『シャブ極道』の監督さんだ!)がこんなことを書いている。 「デジタルの普及で製作、監督、脚本、撮影、編集まで一人の人間がやってしまっている作品が増えている現在、監督の立場、役割を明確に定義することが困難になっていることは間…

読まずに書けるか 見ずに撮れるか

小説を読まずにいきなり小説を書きはじめる青年、ろくに映画も見ないで映画を撮り始める若い衆、最近そんな連中が増えて往生している、と或る芸術系大学の先生が嘆いていた。もっとひどいのは、それを「個性」だ、オリジナリティー溢れる「作品」だと持ち上げ…

エグナ

エロ・グロ・ナンセンス略してエグナ。褒め言葉として使われることは少ない。どちらかといえば顰蹙を買うほうだろう。しかし、この言葉、人間の底知れなさ、どうしようもなさを捉える重要なキイワードのひとつではなかろうか。そう思ってきた。 エロは切迫。…

「ホンモノ」という記号

現代演劇についてはトンと不案内だ。 或る雑誌を読んでいたら、今流行りの演劇潮流について高山明さんという四十代の演出家が苦言を呈していた。【「ドキュメンタリーカルチャーマガジンneoneo 02 」2013年4月発行】 ドキュメンタリー映画にも関連する…

あれもこれも

昨日、「あれかこれか」ではなく、「あれもこれも」の時代の到来について書いた。 二十世紀が終わる頃、ぼんやりと考えていたことがある。二十世紀という「分業」の世紀が終わって、これからは「統合」の時代になるんじゃなかろうか、何となくそんなことだ。効…

兼業時代

相変わらず兼業映画監督(週末映画監督!終末映画監督?)が増えている。 映画だけでは喰えなくて、介護の仕事をしながらドキュメンタリーを撮っている人もいれば、運送の仕事の傍ら劇映画を作っている人もいる。これまではあまり芳しいことではないと思ってき…

背反有理 補遺1

「背反有理」シリーズの新作をご披露する。 何のこっちゃ分からない御仁は、置いてきぼりとする。義務教育ではないので放置。 (気になる向きは、2013年1月11日のブログを参照されたい。この日から暫くしつこく展開している。http://d.hatena.ne.jp/ko…

記憶のコントロール

数年前、知人がリタイヤ後大学院に進学した。この春めでたく修士号を取得した。その修士論文を冊子に纏めたものを頂戴した。 『CC(コーポレート・コミュニケーション)の視点から考察する「企業博物難」の価値』【2013年4月京都産業大学大学院マネジメント研究…

本野精吾自邸

或る催しを企んでいる。関連で京都衣笠の本野精吾自邸という洋館を拝見した。 1924年に建てられた洋館、イマドキの言葉で言えばレトロモダン。築90年なのにいささかの古くささも無く、堅牢にして柔らかい。素晴らしく素敵な建物だった。不勉強にして本野精吾…

岩佐寿弥さん

遅れ馳せながら、岩佐寿弥さんが亡くなったことを知った。 新聞の訃報記事には「映画の上映キャンペーンの旅先で宿の階段から転落、脳内出血のため死亡」とあった。直接の面識は無かったが、若い頃から映画はずっと観て来た。1969『ねじ式映画 私は女優…

『月夜釜合戦』

昨日に続いて、雑誌『砂漠Vol3』の「NDS大放談」の話題。 NDSメンバーの一人佐藤零郎さんが、釜ケ崎で劇映画を作ろうとしている。何本かドキュメンタリーを作ってきての彼なりの結論と戦略に基づく。佐藤零郎 祭りとか暴動とか、そういうのは撮れるんですよ…

集団的想像力

不定期刊行のマガジン『砂漠Vol.3』に「NDS大放談 映画の作り方なんて教わってへん!」という面白い記事が載っている。【発行=2013年2月 砂漠 ¥500】 NDSは中崎町ドキュメンタリースペースの略。元々は、NDU(日本ドキュメンタリストユニオン)の故…

ウジャンジャ

アジアアフリカ地域研究の若い文化人類学者小川さやかさんの『都市を生きぬくための狡知 タンザニアの零細商人マチンガの民族誌』を読んだ。すこぶる面白かった。 【2011年2月28日世界思想社刊】 タンザニアの都市部で古着を扱う路上商人たちの智慧を…

読書が消費に、評論が宣伝に‥

「この人の新作が出たら、必ず読む」という人がめっきり減ってきた。次々に亡くなって逝くということもあるし、たまに新人にも挑戦するが、ハズレが多い。週刊誌も含め定期購読している雑誌もなくなって久しい。 ドンドン世間が狭くなっていく。ついでに料簡…

埒外

ショックだった。 先日うら若い女子学生さんから聞いた話。「最近の映画館、とりわけミニシアターは加齢臭が強くて我慢できない、だから映画館になんか行かない」というのだ。貴方のことではありませんよ、と断りを入れられながら、笑顔で言われた。 う〜ん…