2ペンスの希望

映画言論活動中です

2016-12-01から1ヶ月間の記事一覧

研究者:御園生涼子さんの本 

御園生涼子さんの本『映画の声 戦後日本映画と私たち』【みすず書房 2016年10月 刊】を読んだ。 久し振りに研究者の底力を感じた。優れた研究論文は、作者(オーサー、フィルムメーカー)の意図・意識・計算・作為(作意)を超えて、予期せざる深層にまで垂鉛(…

H/T

神戸三宮のシネコンで『ヒッチコック/トリュフォー』を観てきた。 神戸では一館のみの「独占上映」。公開第二週の土曜日の午後、152席に観客は9人だった。その前後に上映のアニメは若い人中心に結構な入りだったのに‥‥残念。 多分今年最後の予告編。前段…

漫画化計画 本

勧められて『長嶋有漫画化計画』を読んだ。【光文社2012.3.刊】 「ブルボン小林」名義で漫画評論も書く長嶋有さんが、自ら漫画雑誌の編集者となって自作の小説を15人に漫画化して貰った一冊。 特別参加の藤子不二雄Ⓐさんも含め、名前を知っていたり漫画を読…

岡田さんの本から5:補遺

岡田さんの本の拾い物。 エマニュエル・リヴァが『24時間の情事(Hiroshima mon amour)』のロケ中に6×6 リコーフレックスで撮った写真集『HOROSHIMA 1958』のことが書いてあったので、早速近くの図書館から借りだしてみた。 1958年の日本 屋外には子供た…

岡田さんの本から4

昨日岡田さんの本の中で一番率直で切ない一文を読んだ。 「小さな画面、大きな画面」。 岡田少年の映画との出会い・私的回想録、2007年5月太田出版発行の雑誌「d/SIGN」に載ったものだ。 人は与えられた時間と場所で今を生き、映画と出会う。1968年愛知県生…

岡田さんの本をテキストに3

引き続き岡田本をテキストに。 1) 岡田さんは「フィルムセンターの事業を説明する際にしばしば不遜にも「国立国会図書館の映画版」という言い方をしてしまう。」と書いている。「実は、法的には国立国会図書館法の第24条が映画フィルムの国立国会図書館…

岡田さんの本をテキストに2

岡田秀則 本『映画という《物体X》』の昨日読んだ一節。 「面白くない映画を我慢して見ることで人間は深みを増す、と書いたのは作家の田中小実昌である。映画鑑賞はとかく時間を食うが、人生は一度しかない。金を払ってつまらない映画を観ることは、できれ…

岡田さんの本をテキストに1

またまたしばらく間が空いた。諸般の事情もあるのだがネタに困ってるのも一因。 昨日からNFC国立近代美術館フィルムセンター主任研究員岡田秀則さんの本『映画という《物体X》』【立東舎 2016.9.23.刊】を読み始めている。 面識はない。 1968年生まれと…