2ペンスの希望

映画言論活動中です

2021-04-01から1ヶ月間の記事一覧

全身芸人 毒蝮 ヤジロベエ

毒蝮三太夫。こちらはTBSラジオで永らくパーソナリティを務めている関東圏芸人なので関西人には馴染みが薄いかも知れない。芸名の名付け親が立川談志(七代目)で落語『花見の仇討』に由来することははじめて知った。日大芸術学部映画学科出身ってことも。 …

全身芸人 崖っぷち

田崎健太さんの『全身芸人』【2018年12月 太田出版 刊】を読んだ。 元は『月刊 実話ナックルズ』 の「絶滅芸人」という連載記事だ。 プロローグにこうある。 「本来、芸人とは日常生活の埒外に棲息する人間たちだ。舞台の上に立つ彼らの眼は醒めている。寄席…

カセットメタルテープ

昭和のカセットメタルテープの高品質が見直されていると聞いた。 アナログの極みvsデジタル。 軍配をアナログに挙げる人が増えているというのだ。 カセットテープ、とりわけ高品質なメタルテープは、低音域も高音域もノイズまで完全に記録、つまりは現場の自…

伝言( 切磋琢磨+削ることで豊かに)

映画は作り易くなったその一方で、作り難くなってきた。このことは、何度も書いてきた。機材の軽量軽便安価化、単独行の進行‥‥。反対に、歴史的映画の膨大蓄積、観客層の敬遠・離反、スタッフ諸職の後退、‥‥。娯楽・教養の必修科目から、端っこの選択科目・…

韓国映画 出遅れて

21世紀に入ってからの韓国映画と日本映画のレベルの差は、歴然たる事実、積年の映画ファンなら誰しもが認めるだろう。その違いがどこからくるのか、百人いれば百の指摘があるにしても、だ。周回遅れほどのこの現実を避けて日本映画は語れまい。進めまい。 国…

韓国映画 遅参ながら

恥ずかしながら、中国映画、香港映画、台湾映画、 韓国映画などには馴染み薄く過ごしてきた。インドネシアやフィリピン映画も疎い。 たまに見て、出来のいいのに出会うと嬉しくなる。とりわけ韓国映画は元気だ。いきがイイ。先日そんなことを話していたら、…

「暗い中で皆で並んで‥」

「映画って、暗い中で、皆で並んでみるもの」 或るテレビ番組で、NHKのベテラン女性アナウンサーの「(監督にとって)映画って何ですか」という無粋な質問に、しばらく無言で考えていた監督が「二つ 答えていいですか」とおもむろにいった一つ目の答えがコレ…

記者 つれづれ 草

昨今 新聞の権威も地に落ちたもんだ、そう思ってたら なんのなんの 創世記からそうだったようだ。明治39(1906)年、日露戦後に出版されたインタビュー集『唾玉集』に「新聞探訪の述懐」が載っている。 「横着な机の上に座ッて居る世間知らずの記者が、横着…

一長一短

水溶紙というものをご存知だろうか? いつ頃開発されたのかは知らないが、水に溶けると跡形もなく消えてしまう特性を持つ。瞬時に溶けていくものからゆっくり時間をかけて溶けていくものまでバリエーションは様々あるようだ。天然素材の木材パルプ由来だから…

帰ってきた ポスター様々

日本映画の海外版ポスターはまだまだある。きりがない。 説明不用! では、コチラは ⇓ ? そしてこうして‥時は流れ‥‥今や「世界のクロサワ」といえば黒澤明ではなく、黒沢清ということらしい。もっとも「そういってるのは日本国内だけだろう」という声も聞こ…

海を渡る ポスター様々

オズ、ナルセ以前に海を渡ったのは、クロサワでありミゾグチだった。まずクロサワ。 どれがどれだか お分かりだろうか? ⇑ こちらの方が馴染み深い かも。 こんなのもある。⇓ アランドロンじゃないよ。 クロサワ映画と言えば‥何と言ってもこれだろう。チェコ…

続々 ポスター様々

ポスター関連第三弾。黒澤明『羅生門』の各国版ポスター。これも昨日に続くponymanさんからの情報。(ちなみに2020年秋に東京NFAJで、2021年春には京都文博で、公開70周年記念 映画『羅生門』展が開かれていた) まずは1950年劇場公開時のオリジナルポスター …

続 ポスター様々

今日は、昨日に続いてポスター続投。ブログにいつも有り難いコメントを戴くponymanさんからこんな情報を頂戴した。西アフリカ・ガーナ共和国の映画ポスター『TOKYO STORY 東京物語』(1953年 松竹) 2020年夏ごろからディープな(一部?)映画ファンのSNSで…

ポスター様々

さまさまではなく、さまざま。 映画が多義的多面的であるように、映画ポスターも多種多様だ。例えば、仏カンヌ パルムドール賞、米アカデミー オスカー受賞の『パラサイト 半地下の家族』。日本で一番多く出回っていたのはコレだろう。 韓国版(パルムドール…

多義図形

トロンプ・ルイユ:Trompe-l'œil:騙し絵 錯視も色々ある。寄せ絵やはめ絵、上下絵、隠し絵など様々だ。多義図形もその一つ。さてあなたは アヒル派? それとも ウサギ派?

三月書房 再開?

京都寺町二条上ル 三月書房 再開店?! いえいえ、三月書房フリークにはつとに知られるトロンプ・ルイユ(騙し絵)。 デジタル画像を原寸大にプリントしてシャッターに貼り付けた。 結構な手間と経費を掛けた代物。「コロナとは無関係の閉店理由なのですが、…

人間蒸発

昨日に続き、今村昌平の1967年 粘着力全開映画『人間蒸発』製作は今村プロ+日本映画新社+ATG。 今はフェイク・ドキュメンタリーとかモキュメンタリーとか云うらしいが、ロートルは知らない。だって、すべての映画は作り物・フィクションじゃなかろうか。嘘…

ゴッド・スピード・ユー! BLACK EMPEROR

今日は 1976年夏東映系列館で上映されたドキュメンタリー映画。ポスターがやたらカッコよかった。 大阪曽根崎にあった梅田東映の満杯オールナイトで観た。暴走族とかカミナリ族とかの昭和語は もはや死語か。神の御加護を願った初々しい少年たちも もうはや …

「残したい、伝えていきたい ‥ 」

思えば至極当然な話なのだが、映画だけが変わったわけじゃない。音楽も文学もあらゆる表現世界は様変わりした。管理人と同世代の音楽家=細野晴臣さんが最近のインタビューでこんな話をしていた。【朝日新聞デジタル &W 2021.003.30「残したい、伝えていきた…

比喩表現

映画もまた、豊かで多様な比喩(譬喩)表現を持つ。換喩、提喩、転喩、諷喩、音喩、寓意、直喩、隠喩、まだまだある。順喩、逆喩、現喩、非喩、先喩、後喩、先後喩、遍喩なんて分類まで‥種別も深度も無数にある。映画のほとんどは比喩表現の連続・連鎖で出来…

文句なし 合掌

見終わって「あー面白かった」、いいものを見たなぁ、見せてもらったなぁと多幸感に包まれてスカッとさわやか文句なしという映画がメッキリ減ったような気がする。 もちろん映画だからどんな作り方も見られ方もアリだ。あれこれ批評するのも、詮索も反芻も悪…

「匂いを映像化することはむずかしい」

今日も、忘備録。『マンガでわかる戦後ニッポン』【2015.7.26. 双葉社 刊】を図書館で借りて読んだ。好物がたくさん入った松花堂弁当みたいだったからだ。 編集者の選考も悪くなく美味しく頂戴した。なかでも内田樹センセの巻末解説はめっけものだった。上記…

豊かになって‥貧しくなった?

今日は、忘備録=忘れぬうちのメモリアル。永嶺重敏 著『明治の一発屋芸人たち』【2020.12.28. 勉誠出版 刊】を読んだ。 副題や帯にもあるように、明治前期 庶民最大の娯楽だった落語界の珍芸人を追いかけた本だ。四天王に加え七人男がブームになったともあ…

3% 8% 20% ‥ ??

宇宙でも海洋でも生命でも 自然科学で解っているのは全体の3%程度だという話がある。科学者によっては、いや8%だ、20%という人もいる。いずれにしろ、まだまだ解明されていないダークマテリアル、ダークエネルギーがたくさん眠っているというのが科学者…

オサラバ東京

映画の世界も長らく東京一極集中が続いてきた。人材も情報も資金もすべては東京に集まっている、そんな時代認識は今も根強い。けど断言する。東京しかないというのはもはや幻想だ。東京は張りぼての抜け殻都市化しつつある、そう思ってイイ。東京は窮屈で窒…

プロ論 「手ぇと頭と一緒でなければ‥」

プロフェッショナルとは何か、については何度も書いてきた。定義は様々だ。難しい。最近はこう思っている。「プロとは、自分の力量が分かっている人のこと」偶然なのか、まぐれなのか、たまたまの幸運なのか、口に出すかどうかは別にして、自分のことでも人…

レッテル貼り

下品ではしたないことだとは理解している。皆それぞれに一所懸命なことも承知している(つもりだ)。なのに、皮相なレッテル貼りが止まない。以下に挙げるのはここ暫らくメモってきた日本の映画監督さん( over50 限定)の見立て。決めつけの刃。 (見苦しく…

ハードル

1960年代生まれの監督さんによる日本映画をDVDで立て続けに観た。管理人が1948年生まれだからずっと若い、といっても50代だからそれなりの年恰好の方々だ。東京のTV局でキャリアを積んできた人、地方に居続けCMの世界で腕を磨いてきた人、自主独立で精力…

インディーズ映画配信サイト

少し前まではWOWOWや日本映画専門チャンネルなど衛星放送を契約受信していたのが、Netflixはじめネット動画配信サービスに乗り換えたという話をよく聞くようになった。そんな事情通の友人から、最近は大手資本に混じって、中小独立系の配信事業もちらほら出…

やっぱりみかこは冴えてる

ブレディみかこさんの旧著『THIS IS JAPAN』が文庫本になっていた。 【2019.12.新潮文庫】イギリスでの暮らしぶりレポートも痛快だが、日本と日本人を見る目も冴えてる。 「はじめに」にこうあった。 「そこにあるものをあんまり見ていないようなところは昔…