2ペンスの希望

映画言論活動中です

2017-02-01から1ヶ月間の記事一覧

世界は広い

若い頃から外国映画は、欧米中心に見てきた。おかげでアジアの映画には疎い。数日前に勧められてタイの映画を見た。2015年制作の『ฟรีแลนซ์..ห้ามป่วย ห้ามพัก ห้ามรักหมอ』去年の大阪アジアン映画祭ABC賞受賞映画ということで、関西ローカル深夜枠の朝日放…

フィールドに出る前に

岸政彦さん(龍谷大学社会学部教員)らの本『質的社会調査の方法 他者の合理性の理解社会学』【有斐閣ストゥディア 2016年12月 刊】が面白い。 社会学を学ぼうとする学生や院生向けに書かれた教科書だが、ドキュメンタリー、とりわけこれから 生きた人間に取材…

無意味の意味 深層の真相

きたやまおさむも北山修も自切俳人も昔から好きだった。 目に留まれば手当たり次第に読んできた。 最新著作『コブのない駱駝 きたやまおさむの「心」の軌跡』【岩波書店2016年11月 刊】にこんな一節がある。(冒頭には「私の人生を素材にして、私が深層分析…

胚胎‥‥母胎(三代の盃 余話)

先日半年ぶりに京都の旧作VHS専門のレンタル店「ふや町映画タウン」に行ってきた。O店主さんの話では、経営状態 相変わらず墜落寸前の超低空飛行とのことだったが、懲りずにVHSの掘り出し物(未収集もの)を見つけてはせっせと手に入れてるみたい。 1942年大映…

どっちもいい

昨日に続いて予告編 二本。 1952 HIgh Noon Fジンネマン(邦題:真昼の決闘) 1959 Rio Bravo Hホークス (邦題:リオ・ブラボー) High Noonの評価の高さに反発したHホークスが、「プロのくせに一般市民に助けを求めるなんて‥あんなののどこがいいんだ。」…

お見事リメイク

洋の東西を問わず、リメイク映画はあまり上手くいかないというのが通り相場のようだが、今日は珍しい例外の紹介。スタイリッシュな都会派コメディ。 1947年ダニー・ケイ『虹をつかむ男』 2013年ベン・スティラー『LIFE』』 原題はともに“The Secret Life of …

“COSMOS”OMV

「映画や映像に対して、本当にカッコいいなと思うようになったキッカケがまずミュージックビデオだったから‥」という若い世代の監督さんが登場してきている。悪くない。 けど‥。 今日はそんな女性監督さんが手掛けたOfficial Music Video“COSMOS” たそがれの…

“詠み人知らず”でいい

相米慎二あたりまでがかろうじて撮影所で育った最後の世代だとするなら、さしずめ平山秀幸は、“町場”育ちの第一期生監督だろうか。 『呑むか撮るか平山秀幸映画屋(カツドウヤ)街道』【ワイズ出版 2016年10月 刊】を 読んだ。鈴村たけしの長時間インタビュー…

宇多丸 本

昔々から二本立、三本立が好きだった。(育った大阪の下町には、四本立の映画館もあった。)生来ケチで厚かましい性分だったこともあるが、昔の映画館は入れ替え制ではなかったし、朝から晩まで入り浸って浴びるように映画を見ていた。 『ライムスター宇多丸…

『Tom à la ferme 』

久し振りに予告編を挙げる。といっても日本公開は2014年秋のことだ。 1989年カナダ・モントリオール生まれの役者兼監督Xavier Dolanが2013年に作った『Tom à la ferme』 三連打。 まずは、「特報」2:02 「配給会社アップリンクの公式予告編」1:36 「どなたか…

百輭‥石堂

先日に続いて石堂淑朗さんの『偏屈老人の銀幕茫々』から。 巻末の「究極の旦那芸」が面白かった。 内田百輭の文庫本『王様の背中』(1994年 福武文庫)の解説文として書かれたものだ。 「百輭は自分の書くものを文学ではなく、文章である、と言っている。 ↓百…