2ペンスの希望

映画言論活動中です

2022-10-01から1ヶ月間の記事一覧

メタ:META

最近「メタ:meta」という言葉をよく耳にする。 「メタフィクション」や「メタ発言」「メタ認知」「メタメッセージ」‥‥ Facebook社は Meta に社名変更したし‥「メタバーズ」とやらも話題だ。 そもそもは古代ギリシャ語だそうだ。 「あとに(立つ)」から転じ…

ことばの力 映像の力

ミシェル・フーコーの研究者で記号論・メディア論の専門家 石田英敬さんがこんなことを言っているのを目にした。 「テレビに花の映像が映し出されている場合、別に辞書を調べなくても、その映像が示したいものは見ればわかります。でも、それはつねにどこか…

やっぱり映画は音楽や建築に近い

あらためて、映画は文学や演劇より、ずっと音楽や建築に近いのだと再認識した。 ストーリーやドラマを否定するわけじゃないが、それ以上に重要な要素があるのだと思う。リズム(律動)テンポ(拍調)メロディ(旋律)ハーモニー(和音 コード進行)音色 ‥‥‥ …

「むしろ映画を撮っていない間に映画を作っている」

『幻の小川紳介ノート』【2022.2.7 シネ・ヌーヴォ発行 ブレーンセンター発売】をワクワク読んだ。 大阪の映画館シネ・ヌーヴォの景山理さんが永く預かったままでいた小川紳介の「トリの映画祭訪問記」を中心に、パートナー=同伴走者 小川洋子(白石洋子)の…

広くなって狭くなった

映画は作り易くなって、作り難くなった。 これが当管理人の基本認識である。理由は幾つも挙げられるが繰り返さない。(酔狂な御仁あらば、過去ブログを「作り易く」とでも「ワード検索」あれかし) 作られる映画の数は格段に増えた。映画館に掛かる映画もDVD…

岡村淳 冊子:備忘

今日も備忘メモ。『反骨の軟体 岡村淳の脳内図書 展示読本part1 part2』から。 2015年に東京学芸大学の古書店・古書遊戯 流浪堂で企画開催された展示会の副読本だ。移転で忙しい中、流浪堂店主 二見彰さんに送って貰って読んだ。 ブラジルに渡り、単身ドキュ…

『満映秘史』備忘

今日は備忘メモ。『満映秘史』から 「映画人の悪い癖で、自分のよくわからないことからは逃げようとする。もしくは人に丸投げして、判断を任せてしまう。自分なりに考えようとしないのだ。 映画人は映画にしか興味がない。それも、キャメラマンなら、キャメ…

74年ぶり

神戸映画資料館で清水宏の1948年製作の映画『明日は日本晴れ』を見てきた。 予約満席 補助席も出る盛況だった。上映後 大澤 浄さん(国立映画アーカイブ 主任研究員)の解説があった。三年前 ひょんなことから発見 発掘されたこと、恐らくは74年ぶりの上映だ…

『満映秘史』時を接ぐ

『満映秘史 栄華、崩壊、中国映画草創 』【2022.7.10 角川新書】をスコブル面白く読んでいる。 ノンフィクション作家の石井妙子が女性映画編集者の草分け 岸富美子(1920~2019)にインタビューして書いた本だ。 「あとがき」にこうある。 人は皆、時代の申し…

ファスト映画 早送り視聴

小田嶋×武田本『災間の唄』から、もう一つ。 ホントかどうか知らないが、若い世代では「ファスト映画」とか「早送り視聴」が当たり前なのだという。 ファスト映画は、「映画の映像を無断で使用し、字幕やナレーションをつけて10分程度にまとめてストーリーを…

「論理映画」「文学映画」

本『災間の唄』【2020.10.31. CYZOサイゾー 刊】を読んだ。2011年から2020年にかけてコラムニスト小田嶋隆がツイッターに投稿したツイートをフリーライター武田砂鉄がセレクトした本だ。 ツイッターはやらないので近づいたことはない。小田嶋隆は好きだった…

NDU 発掘2本立て

御贔屓 NDUの新発見フィルム2本が上映されるというので、いそいそと神戸・新長田の神戸映画資料館に出かけた。「神戸発掘映画祭2022」のプログラム「NDUと布川プロの新発見フィルム」上映会だ。 席数38のこじんまりしたシアターだが、30人ほどが詰めかけ…

「編み映画」のススメ

数か月前に目にしてから何だか引っかかっている言葉がある。「編み本」岩波書店のPR誌「図書」2022年8月号で読んだ斎藤真理子さんの「編み物に向く読書」に出てくる言葉だ。 編み物好きの彼女は「小説やエッセイを読みながら編み物をする」のだが、「他の人…

『文にあたる』からさらにスピンオフ P.マーロウ [ hard : gentle ]

私立探偵フィリップマーロウを主人公とするレイモン・チャンドラー(1888~1959)の探偵小説シリーズ 第七作『プレイバック』 作中、ヒロインから、 ❝ How can such a hard man be so gentle? she asked wonderingly. ❞ 「あなたの様にhardな人が、どうしてそ…

『文にあたる』からスピンオフ(寺田寅彦)

牟田都子『文にあたる』から少しはみ出して、今日は森銑三と寺田寅彦。 森銑三(1895~1985)は独学在野の歴史学者・書誌学者だ。 『書物』【1944 岩波文庫 柴田宵曲との共著】では 「書物には誤植がある上に、原稿の誤書があり、文字の誤用がある。その上に内…

『文にあたる』から

フリーの校正者・牟田都子( むた さとこ)さんの本『文にあたる』【2022/8/30 亜紀書房】を読んだ。 冒頭になにがしかの本(の一節)を採り上げ、それにまつわる思いを綴った短文集だ。 印象的だった箇所をいくつか挙げてみる。 ◆「かんなをかけすぎてはいけな…

映画『REVOLUTION+1』を巡って⑤

反響 波紋を少々 料金:前売¥2,000 / 当日¥2,300(共にドリンク代別) 13館 どの会場でも予約開始早々にSOLDOUTしたみたいだ。 名古屋シネマスコーレ 発売前からチケットを求めて並ぶ人たち 日刊ゲンダイDIGITALの2022/9/28/13:30 配信記事にはこうある。 …

映画『REVOLUTION+1』を巡って④

映画はどうやら「獄中で回想するという形式」ですすむようだ。 「主人公の川上達也の母は、宗教に身を投じ3人の子の面倒を見ない。妹は「ハンバーグを週1でいいから食べたい」と泣くがそれを母が叱る。さらに、父の自殺、兄の失明も重なる。大学進学を諦めた…

映画『REVOLUTION+1』を巡って③

山上徹也は手製の銃で現実に向き合った。銃をキャメラに持ち変えて一本の映画が生まれた。 これまで何度も書いてきたが、キャメラを廻すことをシュート shoot と言い、撮られた画像はショット shot と言う。映画は現実を撃つ行為。 ハンドメイドの銃と手作り…

映画『REVOLUTION+1』を巡って②

朝日新聞の記事で足立正生監督はこう発言している。 「スピードが速いと言われるが、(かつての)ピンク映画はこんなものじゃない。もっと短い日数と少ない予算で撮り上げていますよ」 「いくら粘っても、自分の中にあるイメージと、撮った映像の間に誤差が…