2ペンスの希望

映画言論活動中です

2024-04-01から1ヶ月間の記事一覧

『日本アニメーション映画クラシックス』

当ブログは基本アニメーションは扱わないようにしてやってきた。趣味じゃないし、知識も無い。それでも瀬尾光世や政岡憲三、大藤信郎の映画は何本か見てきたし、感心もしてきた。 数日前、アニメーションに詳しい知人からこんなサイトがあるよと教えられた。…

デコとモリマ

デコとモリマ、そう 高峰秀子と森雅之。その共演とくれば、真っ先に名前が浮かぶのは、『浮雲』1955年だろう。他にも『あらくれ』1957年『女が階段を上がる時』1960年と成瀬映画が続く。では、これはどうだろう。 原作は林芙美子ならぬ太宰治(未完の絶筆) …

back to the past

ホントニもういい加減 新作偏重は辞めにしたらどうだろう。ガラクタが多すぎる。 それよりなにより山のように眠る旧作に分け入ってみる方がどれだけか健康的で精神衛生上も好ましいと思うのだが、いかが? かのアロハ記者近藤康太郎は書いている。 「書き言…

九楊:正論不徳?

いささか訳ありで、石川九楊さんの本を立て続けに読んでいる。膨大な著作は四半世紀前からとびとびに読んできたが、今回は五冊。『石川九楊の行書入門 石川メソッドで30日基本完全マスター』【2010.11 芸術新聞社】『石川九楊のほんとうに書がわかる九つの法…

雑なるもの:再考(最高?)

常々 映画は猥雑なもの、夾雑物が混ざり発酵・発熱が起こる厄介もの・取り扱い注意物件だと思ってきた。ということで、雑なるもの:再考(最高?)。 テキストは、先回に続きロラン・バルト『明るい部屋 写真についての覚書』 彼は〈写真〉について「ステゥデ…

雑なるものと純なるもの

何を今さらと言われそうだが、言葉は詰まるところ〈記号〉だ。それもかなり純度の高い。較べて、映像(画像)は、もっと雑。写真も映画も雑なるものが混入した表現物だ。そこで こんな図式を描いてみた。 【雑】の意義には、「いろいろなものが入りまじってい…

「雑草」対決

友人に教えられて『テレビマン伊丹十三の冒険』【2023.6.26. 東京大学出版会】を読んだ。永くタッグを組んでいたテレビマンユニオンの今野勉が書いた本だ。副題に「テレビは映画より面白い?」とある。 伊丹十三という「人物の考察本」であると同時に、今野…

「昭和」人として生きる

ずっと昭和で生きていく。発作的にそう決めた。かつて杉浦日向子や橋本治が江戸人として生きたように。 んっ、何故かって? だってそうじゃない。貧しかったけれど豊かだった時代。慎ましかったけど、贅沢だった時代。暮らしも映画もすべてが痩せて貧相にな…

映画のお手本:カタチであってナカミでもあるような映画

久しぶりに大阪九条の映画館に出掛けた。 清水宏監督『桃の花の咲く下で』(1951年/新東宝/74分/モノクロ) 満員御礼の大盛況 慶賀の至りだ。( 但し 平均年齢70歳超とおぼしき老人ホーム状態だったが‥) スコブル良かった。カタチであってナカミでもあるよう…

広くなって狭くなった 再考

一年半ほど前に「広くなって狭くなった」という稿を書いたことがある。 kobe-yama.hatenablog.com その時の論調は、悲観的・後ろ向きだった。時代や状況が変わったわけではないが、も少し、楽観的・前向きに考えてみる。ということで今回は「広くなって狭く…

本 三冊

しばらく間が空いた。雑事にかまけてブログの更新が疎かになってしまった。 それでも何度か映画館にも出かけたし、本も読んできた。31年ぶりのスペインの巨匠の長編新作や2000年に作られたハンガリーの監督の4Kレストア版、5分のYouTubeから生まれたベストセ…